第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

成人先天性心疾患

一般口演 21 (I-OR21)
成人先天性心疾患 2

2017年7月7日(金) 08:40 〜 09:40 第7会場 (2F 研修交流センター 音楽工房ホール)

座長:渡辺 まみ江(九州病院 循環器小児科)

08:40 〜 09:40

[I-OR21-05] Eisenmenger症候群成人例多施設共同研究(ESMCS)の進捗状況

坂崎 尚徳1, 丹羽 公一郎2 (1.兵庫県立尼崎総合医療センター 小児循環器内科, 2.聖路加国際病院 心血管センター)

キーワード:Eisenmenger, Disease targeting therapy, 臨床的悪化

【目的】2013年4月から開始したESMCS前向き研究の進捗状況を示す。【方法】2016年12月時点の登録数、登録施設、Primary endpoint(PE)、臨床データの推移等を調べた。PEは、臨床的悪化すなわち、死亡、移植、入院(心不全、不整脈、全身合併症)またはWHO-function class(FC)悪化とした。【結果】登録数は74例(F49)、登録施設は21施設であった。診断の内訳は、Post-tricuspid shunt62例(VSD37, PDA 6, AVSD 10, Complex lesions 9)Pre-tricuspid shunt 12 (ASD 9, AVSD 3)で、Down症は24例含まれていた。登録時年齢の中央値34歳(16から73歳)、登録期間の中央値736日(41日~1370日)で、PEは17 例に認められた。その内訳は、死亡3例(突然死、肺がん、心不全)、肺移植1例、入院9 例(喀血、下血、子宮内出血、心不全、低酸素、肺炎)、WHO-FC悪化4例であった。Cardiac deathまたは肺移植の45ヶ月回避率は91.5%、PEの45ヶ月回避率は68.4%であった。PEの危険因子は、BNP≧43pg/mlのみ有意であった。(Hazard Ratio 4.68,p=0.007) 登録時既にDisease targeting therapy(DTT)が49 例に施行されており、新たに開始されたものが3 例、強化したものが13例で、3例中止、8例が改善、2例が肺移植登録された。一方、死亡例5例のうち2例はDTTを施行しておらず、SPO2低下またはWHO-FC悪化を認めていた。SPO2,WHO-FC,BNPなどの臨床データの変化では、登録時と1年後で有意な変化を認めなかった。【結論】臨床的悪化症例は多いが、SPO2低下などの症状の変化にあわせて、DTTを開始または強化することにより、臨床的改善または安定を図ることは可能である。但し、登録症例数が少なく、今後さらなる登録症例数の増加が必要である。