The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Free Paper Oral

成人先天性心疾患

Free Paper Oral 21 (I-OR21)

Fri. Jul 7, 2017 8:40 AM - 9:40 AM ROOM 7 (Seminar and Exchange Center, 2F The Music Studio Hall)

Chair:Mamie Watanabe(Department of Pediatric Cardiology, Kyushu Hospital, Japan )

8:40 AM - 9:40 AM

[I-OR21-06] 血小板分布幅および平均血小板容積は先天性心疾患患者の血栓症発症の予測に有用である

佐藤 正規, 稲井 慶, 島田 衣里子, 清水 美妃子, 竹内 大二, 石井 徹子, 豊原 啓子, 篠原 徳子, 杉山 央, 富松 宏文, 朴 仁三 (東京女子医科大学 循環器小児科)

Keywords:血小板, 先天性心疾患, 心不全

【背景】
心不全では血小板活性化により血栓形成が促進されると言われる。その結果、血小板産生が亢進することで巨大幼弱血小板が出現し、平均血小板容積(Mean Platelet Volume:MPV)および血小板分布幅(Platlet Distribution Width:PDW)の上昇がおきる。MPV・PDWは心筋梗塞や肺高血圧の予後予測に有用との報告はあるが、先天性心疾患領域での報告はない。本研究では先天性心疾患領域でPDW・MPVと血栓発症・心不全入院との関連を検討した。
【方法】
後方視的検討。対象は2013年から2015年まで当科に入院した先天性心疾患患者でアスピリン内服中の者を除外した130名。血液検査、経胸壁心エコー、血栓発症、心不全入院について検討した。
【結果】
対象は男性70名、女性60名で年齢中央値37歳 (12-69歳)。NYHA functional class1が42名、2が48名、3が35名、4が5名でFontan術後患者が32名。PDW・MPVは、多変量解析で血小板数、Fontan術後、性別と相関した。全体ではPDW・MPVとNYHA・BNPは相関を認めなかったが、Fontan術後群では両者はBNPと有意に相関した。Kaplan Meier曲線およびCox Hazardモデルでは、PDW>17.2群で血栓発症(HR 10.3(CI 2.7-34.2),p<0.001)および心不全入院(3.8(1.3-9.2),p=0.003)のリスクが高く、MPV>12.6群でも血栓発症(5.4(1.2-18.7),p=0.005)および心不全入院(2.7(0.8-6.9),p=0.05)のリスクが高かった。またロジスティック回帰ではPDWが1.0上昇すると血栓のリスクが1.53倍になることが示唆された。
【結論】
PDW・MPVは先天性心疾患患者の血栓発症・心不全入院の予測に有用と考えられた。