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[I-OR24-01] 左心低形成症候群における冠動脈の分布様式と冠血流需要供給バランスの関連
キーワード:HLHS, coronary, SEVR
【背景】左心低形成症候群(HLHS)は冠虚血に陥りやすいことが知られている。HLHSでの冠動脈の形態に関する検討は散見されるが、冠動脈の分布様式の違いが冠虚血を来す一因であるかは不明である。【目的】HLHSにおける冠動脈の分布様式と冠血流需要供給バランスとの関連を検討する。【方法】生後半年未満に心臓カテーテル検査を施行したHLHS12例を対象に冠動脈の左右優位性を評価し、各冠動脈断面積を計測した。冠動脈の左右優位性はHansenらと同様に右冠動脈優位(R群)、左冠動脈優位(L群)、左右均衡(B群)に分類、Yatsunamiらと同様に冠動脈断面積の総和(total cross-sectional area: TCSA)のZ値を算出した。冠血流需要供給バランスの指標にcorrected subendocardial viability ratio(cSEVR)を算出し後方視的に検討した。【結果】R群5例(42%)、L群3例(25%)、B群4例(33%)。TCSA(mm2)はR群5.2±2.9(Z値-0.5±1.4)、L群4.8±1.3(Z値-0.7±0.5)、B群4.7±1.8(Z値-0.9±0.8)と3群とも健常より小さく、cSEVRはR群115.2±26.8、L群114.5±25.2、B群113.1±14.3といずれも低値だが3群間に差はなかった。一方cSEVRとTCSAは弱い正の相関を認めた(R=0.31, p=0.30)。観察期間中の死亡例(R群2例、L群2例、B群1例)は生存例に比べTCSAが有意に小さかった(p=0.01)。生存例における生後半年以降のTCSAとcSEVRは有意な正の相関を認めた(R=0.40, p=0.03)。【結語】HLHSでは冠動脈の左右優位性ではなくTCSAが冠血流需要供給バランスに関与することが示唆された。