Free Paper Oral 24 (I-OR24)

[I-OR24-02] 単心室型血行動態にみられる微細冠動脈瘻の血行動態への影響

^○森 浩輝, 杉山 央, 谷口 宏太, 富松 宏文, 朴 仁三 (東京女子医科大学病院 循環器小児科)

Keywords:冠動脈瘻, Fontan術後, 単心室

【背景】Fontan術後の単心室血行動態の患者において微細冠動脈瘻(coronary artery micro fistulas; CAMFs)が散見される。その血行動態に与える関しては不明である。【方法】2003年から2015年にカテーテル検査を施行したFontan術後患者305名(男性155名;51%、年齢18±10歳、Fontan術後12±8年、PA/IVSは除外)をCAMFsの有無で2群(CAMFs, w/o-CAMFs)に分け、カテーテルでの血行動態指標を比較した。群間比較にはMann-WhitneyのU検定を用い、有意水準p＜0.05とした。【結果】35名(11%)の患者でCAMFsを認めた。CAMFs群でQsは高く(CAMFs 2.9±0.9 vs w/o-CAMFs 2.5±0.7L/min/BSA, p＜0.05)、大動脈圧は低値であった(収縮期圧 CAMFs 98±17 vs w/o-CAMFs 105±17mmHg, p＜0.05、拡張期圧 CAMFs 59±13 vs w/o-CAMFs 65±12mmHg, p＜0.05)。肺血管抵抗(CAMFs 1.6±0.6 WU・m² vs w/o-CAMFs 1.8±0.9WU・m², p=0.46)心室拡張末期圧(CAMFs 8.1±3.4 mmHg vs w/o-CAMFs 8.4±3.4mmHg, p=0.68)、中心静脈圧(CAMFs 12.2±3.0 mmHg vs w/o-CAMFs 12.7±3.1mmHg, p=0.71)、動脈血酸素飽和度(CAMFs 93.8±4.9% vs w/o-CAMFs 94.2±3.6%, p=0.97)には有意差を認めなかった。【考察・結論】QsはCAMFsの起因する心室容量負荷によって増加していると考えられた。一方でCAMFsにより組織灌流圧は低下しており、CAMFsの存在は長期的には組織障害性に作用すると考えられた。