The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Free Paper Oral

川崎病・冠動脈・血管

Free Paper Oral 25 (I-OR25)

Fri. Jul 7, 2017 4:05 PM - 4:55 PM ROOM 7 (Seminar and Exchange Center, 2F The Music Studio Hall)

Chair:Kenji Suda(Department of Pediatrics and Child Health, Kurume University School of Medicine)

4:05 PM - 4:55 PM

[I-OR25-02] 川崎病発症後5年以内の小児における酸化ストレスと血管内皮障害との関連

石川 貴充, 關 圭吾 (浜松医科大学 医学部 小児科)

Keywords:酸化ストレス, 血管内皮障害, 川崎病

【背景】川崎病(KD)は早期動脈硬化の危険因子と考えられ小児期にすでに血管内皮障害が始まっているという報告も散見される。その要因の一つに酸化ストレスが挙げられるものの現時点では遠隔期や成人例の調査に限定される。【目的】川崎病発症後5年以内の小児における酸化ストレスと血管内皮機能との関連を前方視的に評価すること。【方法】対象は2015年4月から2016年9月までに浜松医科大学付属病院小児科を受診した川崎病発症後5年以内の25例[冠動脈瘤(CAL)あり10例(Group1), CALなし15例(Group2)]、およびage, gender-matchした健常対照25例(Group3)の合計50例。酸化ストレスマーカーは血中derivatives of reactive oxygen metabolites (ROM)、血管内皮機能は%flow mediated dilatation(%FMD)、血管内皮形態は内頸動脈のintima-media thickness(IMT)を測定し各種パラメータを加えて比較検討を行った。【結果】KD症例の年齢は6.9±3.2歳、KD発症後の中央値は3.9年(IQR1.4-4.8年)。血中ROMはGroup1(中央値394U.CARR, IQR383-458U.CARR, p<0.001)、Group2(中央値353U.CARR, IQR328-412U.CARR, p=0.004)でGroup3(中央値298U.CARR, IQR268-327U.CARR)と比べ有意に高値であった。%FMDはGroup1(6.0±1.5%, p<0.001)、Group2(9.2±2.9%, p=0.026)でGroup3(12.9±4.7%)に比べ有意に低値でありIMTは3群間で有意差は確認されなかった。さらにROMは%FMDと有意な負の相関を認めた(r=-0.58, p<0.001)。%FMDと急性期WBC・CRP、診断までの日数、有熱期間、ROMとの重回帰分析にてROM(標準化係数-0.403, p=0.043)と有熱期間(標準化係数-0.413, p=0.038)は独立して有意な負の相関を認めた。【結論】KD発症後5年以内の小児において酸化ストレスは血管内皮障害と強く関連していることが示唆された。さらに急性期の有熱期間が長期化するほど酸化ストレス誘発(oxidative stress-induced)血管内皮障害のリスクが高くなることが示唆された。