第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

川崎病・冠動脈・血管

一般口演 26 (I-OR26)
川崎病・冠動脈・血管 3

2017年7月7日(金) 16:55 〜 17:55 第7会場 (2F 研修交流センター 音楽工房ホール)

座長:石井 正浩(北里大学医学部 小児科)

16:55 〜 17:55

[I-OR26-03] 川崎病の層別化による免疫グロブリン・プレドニゾロン併用療法に関する前向きコホート研究 (Post RAISE最終報告)

宮田 功一1, 三浦 大1, 大熊 喜彰2, 玉目 琢也2, 高橋 努2, 仲澤 麻紀2, 土橋 隆俊2, 三澤 正弘2, 山下 行雄2, 込山 修2, 山岸 敬幸2 (1.東京都立小児総合医療センター, 2.Post RAISE 多施設共同臨床研究グループ)

キーワード:川崎病, 急性期治療, ステロイド

【目的】RAISE Studyによって,免疫グロブリン(IVIG)不応予測例に対するプレドニゾロン(PSL)初期併用の有効性が証明され,ガイドラインでも推奨されている.本研究の目的は,多施設共同前向きコホート研究によってIVIG・PSL併用の効果をより多数例で追試することである.【方法】地域中核病院29施設による多施設共同研究体制を構築し,2012年7月から2015年6月まで前向きコホート研究を行った.小林スコア5点以上のIVIG不応予測例に対するPSL初期併用の有無は,各施設の方針で決定した.主要評価項目は治療1か月後の冠動脈病変(CAL)合併率で,副次評価項目は初回治療の反応性である.【結果】3年間で症例登録された2629例を対象とした.年齢分布は0-14歳,1歳が最も多く,中央値は2歳であった.男児1502例,女児1127例であった.小林スコア4点以下の1757例(全体の67%)では,不応例が239例(14%),CALが28例(2%)に認められた.5点以上のIVIG不応予測例872例(全体の33%)のうち725例がIVIG・PSL併用,147例がIVIG単独で加療された.IVIG・PSL併用では不応例133例(18% ; 95%信頼区間 16-21%),CAL24例(4% ; 2-5%),IVIG単独では不応61例(42% ; 34-50%),CAL 6例(5% ; 1-8%)の結果であった.不応例はPSL併用で有意に低かったが(p<0.0001),CAL合併率に有意差は認められなかった(p = 0.55).小林スコア5点以上における年齢,性,小林スコアで調整した多変量解析では,初期治療不応例がCALの独立したリスク因子であった(p<0.0001, オッズ比8.0 ; 3.5-18.3).PSL併用と関連が示唆される有害事象として,高血圧1件,菌血症1件が報告された.【考察】小林スコア5点以上に対するIVIG・PSL併用の有用性をより多数例で検証した結果,RAISE Study(不応例13%,CAL 3%)とほぼ同等の治療成績が得られた.CAL合併をさらに抑制するためには,IVIG・PSL併用不応例に対する新たな対策が必要と考えられた.