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[I-OR26-05] 川崎病既往成人の急性冠症候群の特徴:全国調査結果の最終解析
キーワード:川崎病, 急性冠症候群, 全国調査
【背景】川崎病(KD)の報告(1967年)後50年が経過(初回診断基準公表1970年、冠動脈造影所見報告1975年、冠動脈エコー所見報告1979年)したが、最近増加している成人期の急性冠症候群(ACS)の特徴は不明である。【目的】2000-09年に発症した成人期KD-ACSの特徴の全国調査による解明。【結果】登録された67例(中央値35歳、男76%)中、急性期診断32例(A群)(うち診療離脱17例)、成人期の冠動脈画像からの成人期診断例35例(B群)。67例は、冠動脈血栓証明74%、巨大瘤持続38%、血管内エコー上の石灰化92%、心筋梗塞既往なし94%であった。 B群と比べてA群は、ACS年齢が若く(26.5y vs 40y, p<.001)、誕生歴年が遅く(1965年以降94% vs 54%, P<.001)、冠リスクが少なかった(2/5以下87% vs 65%, P=.043)。A群では、診療離脱群に比べ経過観察群では、KD暦年が遅く(1980年以降93% vs 44%、p=.004)、責任病変に巨大瘤を合併し(69% vs 29%, P<.001)、ACS前に抗血栓療法中(87% vs 0%, p<.001)であった。A群の急性期KDの冠動脈径は6mm以上(6.0-7.9mm36%、≧8.0mm64%)、5年以上の遠隔期(中央値16y)の有意狭窄(>75%)は39%、巨大瘤は59%であった。【考察】成人期KD-ACSにおいて、責任病変は急性期6mm以上、遠隔期に必ずしも巨大瘤ないし有意狭窄を伴わず、ACS時に血管内エコー上の石灰化を伴った。経過観察例では、巨大瘤に対する抗血栓療法下の初回のACS発症で、B群では、より高齢でより冠リスク因子を伴う初回のACS発症であった。【結語】本研究は、急性期KD診断群(経過観察群、診療離脱群)、成人期診断群の特徴を解明し、3群は急性期KDの暦年と関連した。本所見は、成人期KD-ACSの発症機序に関わる洞察に与え、成人期KDのスクリーニング、管理、新規診断を知る上で重要である。