第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター

染色体異常・遺伝子異常

ポスター (I-P01)
染色体異常・遺伝子異常 1

2017年7月7日(金) 18:00 〜 19:00 ポスターエリア (1F 展示イベントホール)

座長:安田 和志(あいち小児保健医療総合センター 循環器科)

18:00 〜 19:00

[I-P01-01] 有熱時食事摂取困難でQT延長を伴った、Gitelman症候群の幼児例

若原 良平 (PL病院 小児科)

キーワード:QT延長症候群, Gitelman症候群, 低カリウム血症

【背景】Gitelman症候群は低K血症,代謝性アルカローシスなどを特徴とする先天性尿細管機能障害に伴う症候群である。学童期以降に低K血症や低Mg血症による手足のしびれ等で発見されることもあるが、機会採血で偶然発見されることもまれではない。今回われわれは、アデノウイルス感染時に低K血症を認め、QT延長を伴ったGitelman症候群の幼児を経験したので報告する。【症例】4歳女児。身長±0S.D.発達歴異常を指摘されたことなし。家族歴に特記すべき事項なし。5日間続く発熱で倦怠感強く、採血を施行したところ、K2.7mEq/l、pH 7.46、BE+5.1、HC03- 28.4と低K血症を認めた。心電図検査施行し、QTc462msec、aVf、V5、V6誘導でST低下を認めた。また、咽頭および便からはアデノウイルス2型を検出した。嘔吐下痢がないにもかかわらず低Kの程度が強かったことから尿中K/Crを確認したところ、98mEq/gCrと増加していた。追加採血で低Mg血症、レニンおよびアルドステロン高値からGitelman症候群を疑い、神戸大学にSLC12A3遺伝子の検索を依頼したところExon4にc.539C>A、Exon 15にc.1868T>Cの変異を認めた。以上よりこれらの複合ヘテロ接合体変異に伴うGitelman症候群と確定診断した。また、QTcはK補正に伴いQTc431msecと改善したが、Kは補充なしでは3.0-3.4mEq/lと低値で経過した。【考察】Gitelman症候群は症状が軽く幼児期に診断されることは稀であるが、本症例では経口摂取不足による低Kが進行していた。これまでもGitelman症候群では電解質異常に伴うQT延長が報告されており、これらの患者においては致死性不整脈や横紋筋融解による突然死の報告もある。このためsick dayでは特に電解質に注意し、家族にQT延長を助長する薬剤についても十分啓蒙する必要があると考えられた。【結語】説明のつかない低K血症を見た場合には、二次性QT延長の原因となる低K、低Mgを伴う本症候群の存在も念頭におく必要があると考えられた。