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[I-P02-02] 純型肺動脈閉鎖の胎児心エコー検査で二心室修復が予想できるか?
キーワード:純型肺動脈閉鎖, 胎児診断, 二心室修復
【背景】純型肺動脈閉鎖の胎児診断例で二心室修復が可能かどうかを予測する因子として、胎児心エコーで計測した三尖弁輪径Z値、三尖弁/僧帽弁輪径比、右室/左室長径比が有用であるとされているが、本邦からの報告は少ない。【方法】当院で2014年12月~2016年10月に胎児診断された純型肺動脈閉鎖の8症例 (診断時在胎週数32±2週)を対象とし、胎児心エコー検査での各種計測値と、出生後の治療経過の関連を後方視的に検討した。【結果】出生時週数は39±1週、出生時体重は2775±282 g、出生後の観察期間は12±7.6ヵ月であった。二心室循環を達成したのは3例(二心室群)で、残る5例(単心室群)のうち1例はフォンタン手術に到達し、2例はグレン手術、2例はBTシャントを施行して待機中である。右室冠動脈瘻を認めたのは2例で、三尖弁/僧帽弁輪径比は0.53±0.08、右室/左室長径比は0.54±0.26であり、いずれも単心室群であった。単心室群では二心室群と比べ、三尖弁輪径Z値 (-4.94 [-6.64~-3.23] vs -1.60 [-2.42~-0.47], p<0.05)と三尖弁/僧帽弁輪径比 (0.59 [0.39~0.89] vs 0.99 [0.95~1.01], p<0.05) が有意に低かった。右室/左室長径比には有意差を認めなかった。三尖弁輪径Z値-3.23、三尖弁/僧帽弁輪径比0.89をカットオフ値とすると、二心室循環の成立を感度、特異度ともに100%で予測可能であった。【考察】胎児心エコー検査における三尖弁輪径Z値と三尖弁/僧帽弁輪径比に基づいて、二心室循環の成立を予測できることが示唆され、これらの指標が出生後の治療計画の準備や両親への出生前カウンセリングに際し、有用であると考えられる。