第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター

胎児心臓病学

ポスター (I-P02)
胎児心臓病学 1

2017年7月7日(金) 18:00 〜 19:00 ポスターエリア (1F 展示イベントホール)

座長:竹田津 未生(北海道療育園)

18:00 〜 19:00

[I-P02-04] 胎児心エコーで見つかったEbstein奇形6症例の比較・検討

川合 英一郎, 高橋 怜, 大軒 健彦, 小澤 晃, 田中 高志 (宮城県立こども病院 循環器科)

キーワード:胎児心エコー, エプスタイン奇形, 肺動脈弁閉鎖

【背景】Ebstein奇形はCTARの拡大や著明な三尖弁逆流などの特徴的所見から胎児心エコーでも見つかりやすい心疾患であるが、その重症度と出生後の経過は幅広い。今回、当施設で経験した胎児心エコーで見つかったEbstein奇形のうち、肺動脈弁閉鎖以外の心合併症はない6例を生後の経過も加えて比較検討した。【方法】胎児心エコーではCTAR、Celermajer index、三尖弁形態、肺動脈弁形態を、出生後については呼吸管理や手術について比較、検討した。【結果】胎児心エコーでは、CTARが0.5以上の症例が3例、Celermajer indexが1.0以上の症例が3例であった。三尖弁形態では1例が痕跡的三尖弁で有効な右心室が無い症例であったが、他の5例はTRPGが30mmHg以上であった。肺動脈弁形態については3例が解剖学的閉鎖、3例が肺動脈弁逆流を伴う機能的閉鎖であった。1例が胎児水腫により緊急帝王切開で出生しているが、強い三尖弁異形成と機能的肺動脈弁閉鎖の合併例であった。 出生後、CTARが0.5以上の3例が気管内挿管での呼吸管理を要し、うち2例ではNO投与を行った。6例中4例にStarnes手術を行ったが、3例は解剖学的肺動脈弁閉鎖を伴った症例、1例は胎児水腫に至った症例であった。【考察】CTARが0.5以上の症例は出生後の呼吸状態が悪く呼吸管理を要するリスクと考えられた。また、解剖学的肺動脈弁閉鎖の全例と、三尖弁異形成が強く胎児水腫に至った症例がStarnes手術を行っているが、手術時期については出生後の呼吸状態が保たれていれば、待機的に手術することも可能であった。一方でCTARが0.5未満で機能的肺動脈閉鎖であった2例は出生後の呼吸状態も良好で、内科的治療のみで新生児期を経過している。成長を待ってから弁形成を行うことで二心室修復が可能と考えられた。【結語】胎児心エコーの所見から、出生後の呼吸状態や血行動態をある程度推測できることが示され、治療方針決定においても重要な役割を果たすと考えられた。