The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Poster

電気生理学・不整脈

Poster (I-P05)

Fri. Jul 7, 2017 6:00 PM - 7:00 PM Poster Presentation Area (Exhibition and Event Hall)

Chair:Yoshiaki Kato(Department of Child Health, Faculty of Medicine, University of Tsukuba)

6:00 PM - 7:00 PM

[I-P05-07] 脳卒中による片麻痺で発見され、治療に難渋したベラパミル感受性心室頻拍の一例

塚原 歩, 都築 慶光, 長田 洋資, 中野 茉莉恵, 升森 智香子, 水野 将徳, 後藤 建次郎, 栗原 八千代, 麻生 健太郎 (聖マリアンナ医科大学病院 小児科)

Keywords:ベラパミル感受性心室頻拍, 心筋症, 脳梗塞

【諸言】ベラパミル感受性心室頻拍(VSVT)は、リエントリーによる心室頻拍で予後は比較的に良好とされている。今回我々は脳卒中による片麻痺を契機に発見され、頻脈誘発性拡張型心筋症(TIC)を合併したVSVTの一例を経験した。【症例】13歳男児。既往歴:特記事項なし。中学校心電図検診では異常を指摘されず。家族歴:不整脈・心筋症歴なし。起始経過:バレーボール部に在籍、部活中も動悸を自覚することはなかった。入院3日前より労作時疲労・息切れを認めていた。入院当日は右半身麻痺・構音障害を認め救急搬送となった。頭部MRA施行したところ左中大脳動脈の途絶を認めた。胸部X線で心拡大と肺うっ血を認め、心電図は心拍数120回/分、左軸偏位・完全右脚ブロックを伴う持続性心室頻拍(sVT)であった。心エコーでは左室腔の拡大と左心収縮の低下(LVDd 62mm, LVEF 32%)と左房内血栓を認めた。sVTであったが血圧・意識状態共に安定していたため、経静脈的血栓溶解療法を施行した。治療翌日に左房内血栓の消失を、3日後のMRAでは左中大脳動脈の再開通を確認した。心電図所見よりVSVTと診断し、ベラパミルの内服を開始したが、第18病日洞調律に復した後の心エコーでも左心収縮は不良であった。第25病日心筋生検を施行し心筋繊維の断裂・錯綜状配列・空洞変性、間質の線維化を確認。臨床経過と合わせTICと診断した。VSVTは治療抵抗性で洞調律維持にはベラパミル32mg、ビソプロロールmg、フレカイニド200mgの3剤併用を要した。第66病日および第73病日にカテーテルアブレーション施行し左脚後枝周辺を焼灼した。頻度は低下したもののsVTは残存したため内服を継続した。第106病日神経学的な後遺症は残さずに退院した。【考察】VSVTは若年者に多い予後良好な不整脈であるが本症例では脳卒中による片麻痺で発見され診断時はすでにTICとなっていた。同様の報告はなくVSVTの予後を再考する貴重な症例と思われた。