18:00 〜 19:00
[I-P06-03] 中心静脈カテーテル留置時に3度の蘇生術を要した重篤な合併症を起こした遺伝子疾患・複合心奇形の一例
キーワード:中心静脈カテーテル, 合併症, 蘇生
【背景】遺伝子疾患や複合心奇形の児は、長期の集中治療による末梢ルート確保困難および高濃度輸液適応のため中心静脈(CV)ルートが必要となる頻度が高い。また日本医療安全調査機構の報告事例が一番多かったのはCV穿刺である。【症例】在胎37週、帝切で出生、Ap4/4で蘇生術施行。診断はAVSD, TOF, PDA, PLSVC to CS without communicating vein。特徴的顔貌、翼状頚があり7p duplication and 22p monosomyと判明。(1)生後8ヵ月に末梢ルート困難のため右内頸静脈から穿刺しCVカテを留置。その際、側孔からの逆血は良好であったが先端からの逆血はやや不良であった。側孔からの逆血のみ確認後に主管より補液開始。3時間後に突然高度徐脈となり蘇生術施行。心タンポと診断し心嚢穿刺で改善。貯留液は輸液成分。CTでカテは縦隔への迷入と判断。3日後にICUでカテを抜去したが再び心タンポとなり蘇生術施行、隣接する手術室に移動して心嚢切開で改善。後方視的にはカテは上大静脈から直接心嚢内に入り、側孔部は上大静脈で先端は心嚢内であったと考える。ガイドワイヤーの挿入時に透視下での走行の確認を行わなかった事が今回の迷入につながり、ダブルルーメンカテであるために逆血確認が甘くなったと考えられた。(2)生後9ヵ月時、経管栄養のためにCVポート留置術中にST低下・徐脈・低血圧を認め蘇生術施行。胸部写真で左下肺野の透過性の亢進と心臓縦隔の右方偏位を認めCTで緊張性気胸と確定し、トロッカー留置により改善。後方視的には気切チューブを気管チューブに入れ替えた際にカフを使用したため、左気管支の軟化部位でチェックバルブ様となり大ブラから緊張性気胸を併発したと考える。施術時に術前と異なる状況に置くと不測の事態が生じ得ることに注意を要する。【結語】CVカテ留置は生命に関わる重篤な合併症の可能性があり事前の準備および施行の際の細心の注意が必要である。