Poster (I-P06)

[I-P06-04] 心臓手術介入を行った先天性心疾患を持つ新生児における低出生体重児と正常児の比較検討

^○奥村 謙一¹, 竹下 直樹¹, 糸井 利幸¹, 山岸 正明² (1.京都府立医科大学 小児科, 2.京都府立医科大学 小児心臓血管外科)

Keywords:低出生体重児, 心臓外科治療, 周術期管理

【背景】近年、外科治療の進歩、術前・術後管理の向上により、先天性心疾患(CHD)を持つ低出生体重児(LBWB)の死亡率は改善している。【目的】心臓手術を施行されたLBWBを含むCHD新生児の、現在の死亡率およびその影響因子を検討する。【方法】2012年1月から2016年12月までに入院したCHD新生児のうち、当院にて心臓手術を施行された125名を対象とした。初回手術時の患者背景、術前管理、手術手技、術後経過、死亡率に関して検討した。P＜0.05を統計学的に有意とした。【結果】LBWB(L群)40例、正常体重児(N群)85例であった。疾患の内訳は、DORV 25例、CoA/IAA 14例、SV 12例、HLHS 11例、TGA 10例、VSD 10例、TOF/PAVSD 9例、TA/TS 7例、PDA 6例、その他21例。染色体異常は、Heterotaxy 16例、Trisomy 10例、CATCH 4例、その他7例であった。初回介入手術術式の内訳は、姑息術93例(PAB 31例、BTS 28例、arch repair 10例、TAPVC repair 7例、PDA ligation 7例、Norwood/DKS 6例、その他 4例)、根治術32例(心内修復術 17例、ASO 15例)であった。L群、N群の両群間で、妊娠週数:36±2週vs39±1週(p＜0.001)、Apgar score:6.4±2.6vs7.8±1.7(p＜0.01)、染色体異常(p＜0.001)、手術時体重:2831±881g vs3566±1080g(p＜0.001)、手術方法（姑息術か根治術か）(p＜0.05)、人工心肺使用時間:61±73分vs90±86分(p＜0.05)、大動脈遮断時間:14±28分vs35±51分(p＜0.01)、入院日数:187±166日vs115±108日(p＜0.05)で有意差を認めたが、死亡率に有意差はなかった(p=0.32)。また、術前のvital sign、血液ガスデータ、CTR、BNP、水分管理量に関して、両群間に有意差はなかった。【まとめ】LBWBはCHDをもつ新生児おいてrisk factorのひとつとして考えられているが、今回の検討ではL群とN群の間に死亡率の有意差はなく、綿密な術前管理、手術計画、術後管理によりリスク回避が可能であることが示唆された。