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[I-P06-07] 出生直後より緊急処置を要した卵円孔狭窄を伴うI型大血管転位の新生児2例
Keywords:大血管転位, 卵円孔狭窄, 胎児エコー
【はじめに】卵円孔狭窄を伴うI型大血管転位(TGA)は出生直後より重篤な呼吸循環不全に陥ることがある。今回我々は卵円孔狭窄を伴ったI型TGA新生児の2例を経験した。1例は失ったが、次例はその経験を踏まえた周産期管理を行い良好な経過を得たため報告する。【症例1】在胎38週、2846g。胎児診断はされていない。出生後から呼吸障害を呈し肺疾患を疑い人工呼吸器管理されていたが改善せず。その後行われた心エコーで卵円孔閉鎖を伴うI型TGAと診断。SpO2 が30%まで低下したため緊急で心房間交通を作成しようとしたが、カテーテル検査室、手術室ともに使用できない状況であった。ベッドサイドでエコーガイド下にガイドワイヤーで心房中隔を穿刺したが酸素化は改善せず、その後カテーテル検査室でバルーン心房中隔裂開術(BAS)を試みたが不成功、低酸素血症で死亡した。【症例2】妊娠20週に当院紹介、I型TGAと診断。卵円孔は血流乏しく両心房方向に瘤状に突出、動脈管は2mmと狭小化し両方向性血流であった。妊娠38週に人工心肺スタンバイの下、全身麻酔下帝王切開で出生。SpO2 50%、卵円孔の血流はほとんど認められなかった。ハイブリッド手術室で臍静脈からシースを挿入しBASを試みたが不成功であったためベッド移動なしでそのまま心房間交通作成術を施行。術後硬膜下血腫を認めたため次回の人工心肺使用まで1か月待機し、日齢35にJatene手術を施行、術後の経過は良好であった。【考察】2例とも出生直後から著明な低酸素血症を呈し、心房間短絡作成を要した。卵円孔が狭小化している例は心房中隔が肥厚していることが多くBASが困難な場合があり、外科待機の下でBASを行うことが重要である。本例と同様の症例の救命には胎児診断が重要であるとともに他科と連携した綿密な周産期管理が必要である。