The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Poster

心筋心膜疾患

Poster (I-P07)

Fri. Jul 7, 2017 6:00 PM - 7:00 PM Poster Presentation Area (Exhibition and Event Hall)

Chair:Keiichi Hirono(Department of Pediatrics, Graduate School of Medicine, University of Toyama)

6:00 PM - 7:00 PM

[I-P07-01] 循環破綻を来すほど巨大な心臓横紋筋腫に対し、救命のためeverolimusを使用し効果を得るも、ACTH療法を契機に再増大を認めた一例

重光 祐輔1, 馬場 健児1, 近藤 麻衣子1, 栗田 佳彦1, 栄徳 隆裕1, 福嶋 遥佑1, 平井 健太1, 大月 審一1, 吉本 順子2, 鷲尾 洋介2 (1.岡山大学病院 小児循環器科, 2.岡山大学病院 小児科)

Keywords:エベロリムス, 結節性硬化症, 心臓横紋筋腫

【はじめに】Everolimusは,細胞増殖や血管新生に関わる調節因子であるmTORを阻害する.結節性硬化症(TS)に伴う様々な腫瘍性病変に効果が期待できるが,心臓横紋筋腫に対する使用は未だ適応外であり,効果についての報告も稀である.今回我々は,循環破綻を来すほど巨大な心臓横紋筋腫に対し適応外ながらeverolimusを使用,一度は縮小効果を得るも,ACTH療法により腫瘍の再増大を認めた一例を経験したので報告する.【症例】胎児期より心臓腫瘍を指摘.のちに眼底・頭蓋内所見よりTSと診断.心臓腫瘍は巨大で右室内に充満し,左室を強く圧排していた.出生後しばらくはなんとか循環動態を保てていたものの,心不全の悪化から,日齢11には挿管人工呼吸管理を含む集中治療を開始した.手術による切除も困難な状況下で,適応外ながら救命のためやむを得ず,日齢19よりeverolimusを投与したところ,腫瘍の縮小と心不全の改善を認め,集中治療からの離脱が可能となった.日齢93に退院.循環動態の改善を確認したのちにeverolimusを終了としたところ,腫瘍はやや増大したものの,心機能は保たれていたため,自然消退を期待し経過をみる方針とした.生後7ヶ月時よりシリーズ形成性発作が出現,脳波検査からWest症候群と診断.ACTH療法を開始したところ,左室を圧排するほどの腫瘍再増大と心不全の増悪を認めたため,ACTH療法中止とともにeverolimusの投与を再開.腫瘍は再度縮小傾向となり,心不全も改善した.1歳を過ぎた現在もeverolimus内服は継続しているが,今のところ腫瘍の再々増大はなく,てんかん発作も抗てんかん薬多剤併用下ではあるがコントロールできている.【結語】Everolimusは,TSに伴う心臓横紋筋腫に対しても効果が期待でき,特に手術困難な症例に対し有用と考えられた.また,ACTHによる横紋筋腫増大はこれまでも報告があり,治療に際しては十分に留意する必要がある.