The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Poster

心筋心膜疾患

Poster (I-P07)

Fri. Jul 7, 2017 6:00 PM - 7:00 PM Poster Presentation Area (Exhibition and Event Hall)

Chair:Keiichi Hirono(Department of Pediatrics, Graduate School of Medicine, University of Toyama)

6:00 PM - 7:00 PM

[I-P07-02] 胎児診断された結節性硬化症に合併した心臓横紋筋腫によるチアノーゼとWPW症候群にeverolimusが有効だった新生児例

鳥越 司, 星名 哲, 水流 宏文, 羽二生 尚訓, 沼野 藤人, 齋藤 昭彦 (新潟大学医学部小児科)

Keywords:結節性硬化症, エベロリムス, 心臓腫瘍

【背景】循環異常や不整脈を生じる結節性硬化症(TSC)に伴う心臓横紋筋腫に対し従来は外科治療が施行されたが近年everolimus(EV)の有効性が報告された。しかし報告例は少なく特に新生児期の一定の用法はない。今回安全有効に治療できた新生児例を経験した。【症例】先天性肺気道奇形(CPAM)疑いで当院紹介。妊娠31週胎児エコーで多発性心臓腫瘍を認め、内1つが径14mmと巨大で三尖弁中隔尖付近の中隔にあり中隔尖と一体化し三尖弁流入血流を障害していた。肺動脈/大動脈径1.1、動脈管血流方向は正常だった。胎児MRIで上衣下結節を認めTSCが疑われた。出生後に三尖弁狭窄、右房負荷、WPW症候群合併の病態が想定されEVについて家族に説明した。39週5日、Apgar 8/9、3394gで出生。エコーで巨大腫瘍は20mmで中隔尖と一体化し、右房拡大、心房中隔左房側偏位、卵円孔右左短絡、ECGはdelta波、頭部MRIは上衣下結節、皮質結節を認めた。右房拡大、右左短絡が改善せず徐々にSpO2 70%台まで低下し、またPSVTを頻回に認めβ遮断薬投与を要した。手術は高侵襲でCPAM合併もあるためEV投与を選択した。9生日に0.1mg/dayを開始し投与8日目に縮小効果を認め、以降さらに縮小し右房拡大の改善、右左→左右短絡に変化しSpO2は正常化した。PSVTは10日目、delta波は14日目に消失した。30日目に腫瘍は9mmに縮小したがTR (trivial)を認め、急速な縮小によるTR悪化や長期投与による副作用のリスクを考慮し投与中止した。経過中血中濃度は5.5-7.3ng/ml、副作用はなかった。遺伝子検査でTSC2ナンセンス変異を認めた。中止後に再増大しdelta波も出現したがSpO2低下やPSVTはなく再投与は不要だった。中止後3ヶ月で再増大傾向は緩徐となった。【考察】胎児診断により事前の治療方針検討や家族説明が可能であった。EVは新生児心臓横紋筋腫に有効で安全に投与できたが、投与法、副作用リスク、中止後再増大の様式は未解明で今後症例の蓄積を要する。