The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Poster

心筋心膜疾患

Poster (I-P07)

Fri. Jul 7, 2017 6:00 PM - 7:00 PM Poster Presentation Area (Exhibition and Event Hall)

Chair:Keiichi Hirono(Department of Pediatrics, Graduate School of Medicine, University of Toyama)

6:00 PM - 7:00 PM

[I-P07-06] 著明な心機能障害と難治性不整脈を呈した全身性硬化症による二次性心筋症の一例

水流 宏文, 鳥越 司, 羽二生 尚訓, 沼野 藤人, 星名 哲 (新潟大学医歯学総合病院)

Keywords:全身性硬化症, 二次性心筋症, 免疫介在性壊死性筋炎

【諸言】全身性硬化症(SSc)は皮膚、諸臓器の線維化と末梢循環障害を主徴とする結合組織疾患であり、心筋症を合併することが知られている。また筋障害、筋力低下を呈することがあり、組織所見で有意な炎症細胞を伴わない筋線維の壊死像を認め、免疫介在性壊死性筋炎(IMNM)と診断される例が報告されている。SScの二次性心筋症は予後不良であることが知られるが、小児期発症の報告は非常に稀である。今回、筋力低下を主要症状として診断されたSScで初診時から高度の心機能低下きたした二次性心筋症の一例を報告する。【症例】10歳女児。7歳時からレイノー症状と嚥下障害があり、8歳時から運動能の低下や易疲労感を認めていたが、医療機関を受診せずに経過観察していた。9歳時、筋力低下とCK高値の精査で当院に入院した。皮膚所見と皮膚生検の結果よりSScと診断した。また筋生検では炎症細胞を伴わない筋線維の壊死を認めIMNMが考えられた。入院時のスクリーニング心エコーで心拡大と左室収縮能低下を認め、心臓MRIで左室壁の心内膜下優位に中層、外膜層に及ぶほぼ全周性の遅延造影がみられた。心筋の線維化を伴うSScに合併した二次性心筋症と診断し、利尿薬、β遮断薬、ACE阻害薬を導入された。また、経過中にPVCとNSVTが認められアミオダロン内服を開始された。SScに対するステロイド療法、免疫抑制療法、抗心不全療法を継続したが、心機能は徐々に悪化し、心不全と多源性のsustained VTで入退院を繰り返した。VTは各種不整脈薬や電気的除細動に抵抗性であった。心不全の増悪と心室頻拍のコントロールができず10歳4ヶ月時に永眠した。【考察】小児のSScの予後は成人例よりも良いとされるが、二次性心筋症の症例は稀であるが予後不良である。自己免疫疾患が背景にあるため心移植の適応になりにくく内科的治療が中心となる。早期の発見と治療介入のため小児期発症の自己免疫疾患に対し定期的な心機能評価が必要と考えられた。