The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Poster

成人先天性心疾患

Poster (I-P09)

Fri. Jul 7, 2017 6:00 PM - 7:00 PM Poster Presentation Area (Exhibition and Event Hall)

Chair:Mitsuru Aoki(Department of Cardiovascular Surgery Chiba Children's Hospital)

6:00 PM - 7:00 PM

[I-P09-03] 成人Fontan患者のeGFR低下の背景

其田 健司, 浜道 裕二, 若宮 卓也, 松井 拓也, 桑田 聖子, 斉藤 美香, 石井 卓, 稲毛 章郎, 上田 知実, 矢崎 諭, 嘉川 忠博 (榊原記念病院 循環器小児科)

Keywords:Fontan, eGFR, Spironolacton

【背景と目的】Cr基準値は性、年齢で異なるため、Cr値による直接的な腎機能評価は難しい。Fontan患者では低心拍出量、中心静脈上昇のため腎機能低下を来たすと言われている。成人Fontan患者の腎機能をeGFRで評価し、背景因子を検討した。【方法】対象は2010年~2016年にカテーテル検査が施行されたFontan患者63人(19歳~46歳)。日本腎臓学会のGFR推算式(男:194*Scr-1.094*age*-0.287 女GFR(男)*0.739)よりeGFR(mL/min/1.73m2)を算出。eGFR < 80(mL/min/1.73m2)をeGFR低下群(n=17)とし、eGFR低下に関与する因子を求めた。【結果】ROC解析でeGFR低下予測の有意な面積が得られたのは年齢(0.683:p=0.027)、心拍出量(0.295:p=0.017)、心室収縮末期容積(0.310:p=0.041)、心室拡張末期容積(0.332 :p=0.059)、Fontan年齢(0.647:p=0.075)の5因子。中心静脈圧、体動脈圧、心室拡張末期圧、心室駆出率では有効なROC面積を得ることはできなかった。無脾症候群、心室形態、強い房室弁逆流でも有意差を認めなかった。eGFR低下群では、Sironoracton内服者が有意に多かった(73% vs. 31%)が、ACEI、ARB、Lasix内服では有意な差を認めなかった。P<0.1の上記6因子を用いて多変量解析を行うと、eGFR低下に独立して関与するのはQs≦1.8L/min/m2(odds比28倍)、心室拡張末期容積<70%(19倍)、Spironolacton内服(14倍)、であった。これら6因子のeGFR低下への説明係数は64%と高値であった。【結語】今回の検討では、Fontan成人患者のeGFR低下に圧変化(中心静脈圧上昇、体動脈圧の低下)は関与していなかった。心拍出量の低下、小さな心室容積が強く関与しており、成人FontanのeGFR低下は腎血流低下が主な原因であるのかも知れない。またSpironolacton内服、加齢、遅いFontan年齢が関与しており、これらのリスク因子を持つ成人Fontan患者では、eGFRの変化をフォローした方が良い。