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[I-P12-04] 当科における左冠動脈肺動脈起始の2例
Keywords:左冠動脈肺動脈起始, 心電図異常, 冠動脈疾患
【背景】心奇形を合併しない・合併した左冠動脈肺動脈起始症(ALCAPA)2例を経験したので比較して報告する。【症例1】在胎40週、Ap8/10、2194g(-2.6SD)で出生、哺乳障害あり生後2日に当科搬送。PDA, PFO, PH slightを認めた。生後11日に退院。1ヶ月健診で体重増加不良、哺乳不良を認め再入院。心エコーで軽度の左室機能不全(LVEF=0.55)がみられたため冠動脈の起始を検索しALCAPAと診断。心電図でV1-4ST低下。心カテで確定診断し生後1ヶ月半LCA translocation施行。術後に合併した左肺動脈高度狭窄に対しステント留置術施行。現在7ヶ月体重増加やや不良、軽度の発達遅滞ありフォロー中(G-bandは正常女性核型)。【症例2】在胎40週、Ap9/10、2905gで出生、心雑音指摘されVSD, PHと診断。心電図のV4-6でST低下。生後1ヶ月時に心カテを施行し初めてALCAPAと診断。心エコーではLCAの血流は順行性であった。生後2ヶ月でLCA reconstruction, VSD closure施行。LCAは右肺動脈基部近くから起始し大動脈壁内走行を認めた。現在3歳、発達正常、1歳5ヶ月時施行の心カテで冠動脈修復部に狭窄所見なし。3歳時施行の心電図でV2にQ波新規出現あるが、心エコーで収縮良好、壁運動正常。【考察】症例1は新生児期には肺高血圧残存により症状に気づかれず、肺高血圧の低下と共に体重増加不良・哺乳不良で発症したと考えた。症例2は心奇形により肺高血圧が低下せず診断はより困難であった。症例2はLCA順行性血流があっても心電図変化がみられたことから、症例1で新生児期に心電図検査をしていればより早く診断できた可能性がある。また心エコーによる冠動脈の形態診断は必ずしも容易でないことから、必要に応じて心カテ造影検査が考慮される。