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[I-P12-07] 肝障害を合併した川崎病急性期にアスピリン代替薬としてフルルビプロフェンを使用すべきか?
Keywords:川崎病肝障害, アスピリン, フルルビプロフェン
【背景】川崎病(KD)急性期に肝障害を認める例では、アスピリン(A剤)の代わりにフルルビプロフェンが明確なエビデンスのないまま慣習的に使用されてきた。【目的】KD急性期に肝障害の有無に関わらず全例A剤のみを選択することの肝機能への影響を検証すること。【対象】2015年1月から2016年12月まで当科に入院したKD40例のうち、後述の方法に順じてA剤を投与し得なかった6例を除く34例(男児22例、女児12例、6か月から5歳8か月)を対象とした。【方法】Nakadaら(Pediatr Cardiol 2015;36:335-339)の報告に基づき、1st lineの治療としてIVIG1~2g/kgを終了後24時間以内にA剤30mg/kg/日(A30)を開始し、解熱後5~10mg/kg/日に減量した。軽症例では、IVIGを施行せずA30のみを開始した。急性期治療開始前(入院時)と後(退院時)のAST (IU/L)、ALT (IU/L)、T. Bil (mg/dL)の推移、A30投与日数とAST、ALT、T.Bilの前後比(後値/前値)との関連について検討し、p<0.05を統計学的有意とした。【結果】群馬大学スコアは0~7点(中央値3点)で、5点以上は8例。総IVIG量(/kg)は、未施行8例、1g3例、2g19例、3g 3例、4g1例。IVIG不応2例にステロイド剤を併用した。治療前AST 20~264 (中央値30.5)、後26~88(中央値37)で有意差はなかった(p=0.178)。治療前ALT 5~271(中央値14)、後6~112(中央値17)で有意差はなかった(p=0.123)。治療前T.Bil 0.15~3.45(中央値0.47)、後0.09~0.73(中央値0.24)で治療後に有意に減少した(p=0.0005)。A30投与期間(1~10日、中央値2日)とAST、ALT、T.Bilの前後比に有意な相関はなかった。入院時AST100以上の症例は4例で、いずれも治療後に改善した。一過性CALを1例のみ認めた。【結語】全KDにA剤を使用することは、特にIVIGをA剤に先行させるNakadaらの方法下において安全性が高いと考えられる。今後対象を増やし、より多くの重症例を含む検討が必要である。