The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Poster

学校保健・疫学・心血管危険因子

Poster (I-P13)

Fri. Jul 7, 2017 6:00 PM - 7:00 PM Poster Presentation Area (Exhibition and Event Hall)

Chair:Hiroshi Katayama(Department of Pediatrics, Osaka Medical College)

6:00 PM - 7:00 PM

[I-P13-01] 自然軽快した、新しい学校心臓検診ガイドラインで上室頻拍に準じるとされる接合部調律の一例

岡川 浩人 (滋賀病院 小児科)

Keywords:学校心臓検診, 接合部調律, 上室頻拍

【はじめに】新しい学校心臓検診ガイドラインでは心室拍数(HR)80/分以上の接合部調律は上室頻拍に準じるとされたが、学校検診ではHR80/分以上の接合部調律をしばしば経験する。今回、長期の経過で洞調律化したHRの速い接合部調律を経験した。接合部調律に準じた上室頻拍の予後考察の一助になると考えられたので報告する。【症例】症例は14歳男児。小学校1年時の学校心臓健診心電図で接合部調律を指摘、精査で管理不要とされた。4年時に再び接合部調律を指摘され、精査目的に当院を受診。接合部調律安静時HR100/分、ホルター心電図で、接合部調律は持続性で洞調律になることなく、HRも常に80回/分を超えていたが、深夜帯に低下し日中は上昇するなど明らかに自律神経の影響を受けていた。トレッドミル運動負荷心電図では、負荷によりHRが130/分を超えると洞調律となり、回復期に130/分以下になると再び接合部調律となった。安静時心室拍数は速いものの、HRの上昇につれて洞調律化するという通常の接合部調律と同様のパターンを示していた。中学校1年時より洞調律が混在するようになり、2年時にはほぼ洞調律化した。一連の経過で、失神、胸痛、脈不整、息切れ等はなく、スポーツ少年団・部活動で野球をしていたが特に問題はなかった。【考察】ガイドラインのHR80/分の基準、2次以降検診必要の判断は心拍数が変動する自動能亢進型の上室頻拍を念頭においたものと考えられる。上室頻拍としても、無症候性の自動能亢進型の80/分上室頻拍は特に治療を必要としないとされ、自然軽快する症例も報告されている。HR80/分を超える接合部調律の頻度は少なくないと考えられ、HR80/分を上室頻拍として管理することは検診医療機関の負担増大につながることが懸念される。【結語】HRの速い接合部調律でも、予後良好な可能性があり、新ガイドラインのHR80/分の基準は厳しすぎると考えられた。