The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Poster

外科治療

Poster (I-P14)

Fri. Jul 7, 2017 6:00 PM - 7:00 PM Poster Presentation Area (Exhibition and Event Hall)

Chair:Hajime Sakurai(Department of Cardiovascular Surgery, Japan Community Healthcare Organization Chukyo Hospital)

6:00 PM - 7:00 PM

[I-P14-03] 右小開胸心房中隔欠損閉鎖術に合併した再膨張性肺水腫の1例

廣瀬 圭一, 三和 千里, 阪口 仁寿, 吉田 幸代, 矢田 匡, 恩賀 陽平, 多良 祐一, 山中 一朗 (天理よろづ相談所病院 心臓血管外科)

Keywords:再膨張性肺水腫, 右小開胸アプローチ, 心房中隔欠損閉鎖術

【背景】再膨張性肺水腫は長時間虚脱した肺が再膨張した後に生じる肺管透過性亢進に起因する。今回右小開胸アプローチ心房中隔欠損閉鎖術に合併した再膨張性肺水腫を経験したので報告する。【症例】症例は16歳の女性。15歳時の学校検診で心電図異常を指摘され、当院受診。心房中隔欠損と診断、欠損が大きく閉鎖栓での治療は困難と判断され、手術適応となる。若年女性であり、右小開胸アプローチを選択された。手術は分離換気下に弧状皮膚切開をおき、第4肋間開胸。同時に右鼠径部より送脱血管を挿入し体外循環を確立。大動脈遮断、心停止、右房切開。心房中隔欠損は1.5×3cm程度と非常に大きく新鮮自己心膜でパッチ閉鎖し、体外循環より離脱(総体外循環時間101分、大動脈遮断時間47分)。離脱後、経皮的酸素飽和度の低下とともに、右側の気管チューブから淡血性泡沫状、漿液性の分泌物が大量に噴出した。心内は経食道心エコーで異常を認めず、右室圧・肺動脈圧もほぼ正常であった。胸部写真で右肺に高度の透過性低下を認め、再膨張性肺水腫と診断した。術後は分離換気用の気管チューブを左右別々の人工呼吸器に接続し、右肺のみPEEPを15mmHgとした。術後24時間で気管支fiberを施行、吹き上げてくる分泌物を認めなかったため、ゆっくりPEEPを下げ、術後2日目に人工呼吸より離脱した。自咳による血痰はしばらく続いたが、胸部写真は次第に改善し、術後9日目に退院し、現在外来経過観察中である。【考察・結語】右小開胸心房中隔欠損閉鎖術に合併した再膨張性肺水腫を経験した。成人例ではあるが、右小開胸僧房弁形成術でも再膨張性肺水腫を経験し、そちらは酸素飽和度の低下が著しく、経皮的心肺補助(ECMO)を必要とした。両者の違いは年齢・体外循環時間・心停止時間などあり、一概に比較できないが、比較的軽症であるはずの心房中隔欠損手術でも右小開胸であれば再膨張性肺水腫に注意する必要があると認識させられた。