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[I-P14-05] 先天性心疾患修復術後に大動脈基部置換を施行したMarfan症候群とLoeys-Dietz症候群の若年女性2例
キーワード:Marfan症候群, Loeys-Dietz症候群, Bentall手術
【はじめに】Marfan症候群(MFS)やLoeys-Dietz症候群(LDS)は、全身性結合組織異常により若年から大動脈瘤や大動脈基部拡大を形成し、大動脈基部再建を要することが多い。先天性心疾患修復術後、成人期にBentall手術を行った若年女性のMFSとLDSを経験したので報告する。【症例1】29歳 女性:MFS、VSD(膜様部)およびPDA術後(1歳4ヵ月)、PLSVC、膣閉鎖、卵巣嚢腫。28歳時にvalsalva洞から上行大動脈にかけての拡大(56mm)およびmild-moderate ARを認めた。29歳時の遺伝子検査でMFSと診断された。再手術のリスクから本人が機械弁でのBentall手術を希望し、同年にBentall手術を行った。30歳時に右卵巣嚢腫摘出術を施行した。31歳で結婚し、術後3年の現在、ロサルタン50mgを内服し、経過観察している。【症例2】30歳 女性:LDS、PDA術後(8ヵ月)。6歳から側彎を認め、10歳までに3回側彎に対する手術を施行した。21歳頃から上行大動脈拡大(29mm)を認め、27歳時には36mmまで拡大し、ARはmildであった。29歳時の遺伝子検査でLDSと診断された。30歳時の上行大動脈径は43mmであり、手術の方針となった。側彎が強度であり、胸郭の変形および下行大動脈の蛇行を認めた。本人・家族と相談し、再手術のリスクを避けるため機械弁でのBentall手術を選択した。術後4ヵ月の現在、ロサルタン25mg、アテノロール25mgを内服し、経過観察している。【考察】上行大動脈の拡大に対しては自己弁を温存する大動脈基部再建手術とBentall手術(生体弁または機械弁)の選択肢がある。今回経験した2例の若年女性は、ともに本人の希望(症例1:できる限りの再手術回避、症例2:側彎が強く再手術の際のリスク)により、機械弁でのBentall手術を選択した。【結語】先天性心疾患修復術後にMFS/LDSの診断に至りBentall手術を行った2例を経験した。若年女性でも、再手術リスクと本人の希望を考慮して、機械弁を使用するのも選択肢の1つと考えられる。