18:00 〜 19:00
[I-P15-02] 当院での低体重児に対する肺動脈絞扼術の検討
キーワード:低体重, 肺動脈絞扼術, 姑息術
【背景】近年、胎児診断の精度も上昇し、出生後の早い段階から診断が確定する場合が多くなり、それに伴い低体重児であっても外科的治療が求められる場合が増加している。そこで、当院の低体重児に対する姑息手術を検討した。【対象】2012年から2016年までの5年間で、当院で施行した初回手術、人工心肺非使用下での肺動脈絞扼術41症例。【方法】体重2.5kg未満のL群と、2.5kg以上のH群に分けて、手術時間、出血量、絞扼径、在院日数などを比較した。【結果】L群は2.0±0.3kg(1.5~2.4kg)の14症例(男児3症例)、H群は3.6±1.5kg(2.5~9.4kg)の27症例(男児17症例)。次期手術を行った症例を除いた在院日数はL群59.9±84.1日(6~306日)、H群49.2±66.2日(11~262日)であった(p=0.7)。周術期死亡はL群1症例(低心拍出症候群)、H群2症例(低心拍出症候群、脳出血)を認めた。手術時間はL群146.4±33.8分、H群118.3±28.7分と有意にL群が長時間となった(p=0.01)。出血量はL群14.7±6.7ml、H群15.1±10.7mlであった(p=0.9)。絞扼径は、主肺動脈絞扼術ではL群BW+17.4±2.9mm、H群BW+16.4±1.6mmであった(p=0.3)。両側肺動脈絞扼術では、L群右8.7±0.6mm、左9.3±0.6mm、H群右9.1±0.6mm、左9.5±0.8mmであった(右p=0.3、左p=0.6)。術後に絞扼径を調節した症例は、L群では1症例、H群では3症例であった。【結論】低体重児の肺動脈絞扼術は、絞扼径の判断のために手術時間が長引きやすいことが考えられる。しかし、出血量、在院日数、絞扼の再調節、周術期死亡も2.5kg以上での絞扼術と有意差を認めず、低体重であるという理由のみで、手術を忌避する理由にはならないことが示されたと考える。