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[I-P15-04] 肺血流制限を伴う体肺動脈短絡手術を行い救命できた極型ファロー四徴症合併超低出生体重児の一例
キーワード:超低出生体重児, 血流制限, 低酸素換気療法
【はじめに】低体重児の体肺動脈短絡手術(SP shunt)では、体重2.5kg以下は死亡のリスク因子となり、3.0mm以下の細径人工血管が存在せず、高肺血流に陥りやすい危険性がある。今回我々は、clipによる血流制限に加え低酸素換気療法を併用し、高肺血流に伴う心不全を良好に管理し救命しえた超低出生体重児を経験したので報告する。【症例】在胎30週0日、616gで出生した女児。胎児期に胎児発育不全と心疾患を指摘され母体紹介され、当院の胎児エコーでファロー四徴症(TOF)と胎児診断した。生後NICUに入院し、心エコーでTOF、肺動脈閉鎖、右側大動脈弓、動脈管開存(左腕頭動脈から起始)と診断され、lipo-PGE1で加療開始。経過中、動脈管の狭小化認めPGE1-CDへ変更、160ng/kg/minまで増量したが、動脈管血流不安定であり開存維持が困難なため、日齢148(修正2か月17日)、体重1772gでSP shuntを行った。胸骨正中切開にてアプローチ、動脈管血流を阻害せずにlt. BCAを遮断困難なため、人工心肺下に3.5mm ePTFE graftを用いたSP shunt(lt.BCA-mPA)を行った。動脈管血流をターニケットで駆血し、人工心肺からはs-clip4個を用いた血流制限を行い離脱可能であり、閉胸し終了した。ICU入室後、高肺血流傾向を認め窒素吸入による低酸素換気療法を開始。POD12には低酸素換気療法から離脱、経管栄養による体重増加をはかりPOD33に人工呼吸器より離脱し、以後順調に経過している。【考案】低体重児におけるSP shuntでは、術後急性期のHigh flow shockやclipによる血流制限に伴うgraft閉塞の危険性がある。3.0mm人工血管ではclip追加に伴う閉塞リスクが大きく、体重増加に伴う肺血流不足によるsize upが必要となる可能性があるため、High flowのリスクは増大するが、3.5mmを選択した。clipによる血流制限と低酸素換気療法を併用した管理を行うことで、肺体血流バランスを維持し良好な術後経過を得ることができた。