6:00 PM - 7:00 PM
[I-P15-05] 肺血流調節型肺動脈絞扼術を用いた総動脈幹症に対する段階的治療の検討
Keywords:総動脈幹症, 両側肺動脈絞扼術, 肺血流調節
【背景】当院では総動脈幹症に対して二期的修復術の方針とし、新生児期に肺血流調節型両側肺動脈絞扼術(Flow adjustable bilateral pulmonary artery banding :FABPAB)を行い、その手術成績について後方視的に検討した。【対象】2008年2月から2016年2月までに出生した総動脈幹症5例のうち、Collets&Edwards分類/Van-praagh分類:1/A1型は2例、2/A2型は2例、Van praagh分類:A4型が1例であった。合併心血管奇形は重度の総動脈幹弁逆流が1例、部分肺静脈還流異常症が1例であった。総動脈幹弁は四尖が1例、三尖が2例、二尖が1例であり、そのうち四尖の症例は単冠動脈症であった。【結果】肺動脈絞扼術は日齢:平均5.6日(3~9日)、体重:平均2.9.kg(2.5~3.2kg)で行った。5例中4例は経過でSpO2:80%前半(Room air)を目安に肺動脈絞扼術部に経皮血管形成術(PTA)を行った。PTAはRastelli手術まで2回行っており、1回目は月齢:平均2.5か月(1-6か月)、2回目は月齢:平均6.3カ月(3-10カ月)に施行しており、3-4.5mm baloonを用いて行った。重度総動脈幹弁逆流を認めた1例には弁逆流の悪化を避けるためPTAを実施しなかった。全例がRastelli手術へ到達し、月齢:平均8カ月(4~13カ月)、体重は平均6.7kg(4.5~8.2kg)、全例で三弁付き導管を使用し3例が14mm、2例が16mmを採用した。同時に1例は総動脈幹弁形成術、1例は大動脈弓再建術、1例は部分肺静脈還流異常修復術を行った。肺動脈絞扼部に対する肺動脈形成術は初期症例の1例のみに要した。【結語】総動脈幹症に対するFABPABを用いた段階的治療の成績は良好であった。FABPABの導入により最近では体重7~8kgで16mmの導管を採用することが可能となり、遠隔期の再手術の回避および延期が期待され得るものと確信している。