第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター

外科治療

ポスター (I-P15)
外科治療 2

2017年7月7日(金) 18:00 〜 19:00 ポスターエリア (1F 展示イベントホール)

座長:橘 剛(北海道大学医学部 循環器・呼吸器外科)

18:00 〜 19:00

[I-P15-06] 当院における外科的肺静脈ステント留置術の現状と成績

吉村 幸浩1, 灰田 周史1, 山本 裕介1, 寺田 正次1, 住友 直文2, 宮田 功一2, 福島 直哉2, 永峯 宏樹2, 大木 寛生2, 三浦 大2, 澁谷 和彦2 (1.東京都立小児総合医療センター 心臓血管外科, 2.東京都立小児総合医療センター 循環器科)

キーワード:肺静脈ステント, 肺静脈閉塞, 総肺静脈還流異常症

【はじめに】総肺静脈還流異常症(TAPVC)術後の肺静脈閉塞(PVO)の予後は不良で治療に難渋する.Sutureless 法によるPVO解除術後のPVO再発例に対し,当院では積極的に経皮的肺静脈ステント留置術を選択し,経皮的留置が困難な例には外科的留置術を施行している.【対象と方法】2010年3月当院開設から2016年12月の間に外科的肺静脈ステント留置術を施行した9例の診療録を後方視的に調査,周術期の問題点や成績を検討した.【結果】女児3例,男児6例.主診断はTAPVC 7例(Ia 1,IIa 1,III 3,III+Ia 2),特発性PVOを伴ったDORVと三心房心が各1例.TAPVC修復術(conventional法2例,primary sutureless法5例)後の1例と特発性PVOの1例を除く7例がsutureless法によるPVO解除術後のPVO再発例であった.ステント留置術時の月齢は2~9ヵ月(中央値4.8ヵ月),体重は2.6~5.1kg(中央値3.8kg)で,先行手術からは38~112日(中央値55日)後であった.留置したステント本数は1~4本(1本-1,2本-3,3本-4,4本-1)で,心エコー上推定右室圧は術後有意に低下した(平均値83mmHgから47mmHg).病院死亡は3例に認め,ステント留置後に気瘻,肺出血をきたし補助循環を要した1例が離脱後も呼吸不全改善せず2ヵ月後に死亡した.術後乳び胸が遷延し経皮的および外科的ステント内再拡張術を施行した例と,7回の再拡張を行うも末梢への肺静脈狭窄が進行した例を,それぞれ術後6および8ヵ月後に失った.遠隔死亡の1例もステント遠位の狭窄が進行し呼吸器感染を契機に死亡した.生存5例の観察期間は1~56ヵ月(平均18ヵ月)で,内2例で経皮的ステント拡張術やステント留置を要している.【考察】外科的肺静脈ステント留置術では重篤な肺静脈損傷の合併に注意を要し,術後に末梢側への肺静脈狭窄が進行する例の予後が不良であった.また手術時に1-2本の肺静脈が完全閉鎖している症例もあり,より早期の介入が必要と考えられた.