6:00 PM - 7:00 PM
[I-P16-01] 小児期弁置換術の長期予後
Keywords:弁置換術, 先天性心疾患, 遠隔成績
【目的】小児期の弁置換術は、身体成長やパンヌス形成、血栓弁や妊娠出産の制限など問題が多い。当院で、小児期弁置換術を受けた患者の遠隔成績を評価する。【対象】1978年以降小児期に弁置換術を受けた24例。内訳は、大動脈弁置換術(AVR)が11例、房室弁置換術(AVVR)が12例、AVR+AVVRが1例である。初回弁置換年齢は、8.1±5.4歳。AVVRで生体弁が1例、残りの23例は機械弁であった。【結果】平均追跡期間13.3±8.7年で死亡は2例。死因は、AVR(Bjork-Shiley弁)後5年での円盤逸脱による急性左心不全、AVVR後9年での妊娠中の血栓弁、産後出血であった。抗血栓療法の自己中断が2例あり、内1例が血栓弁で再手術となった。脳合併症0、消化管出血1例、血栓弁2例(死亡例含む)。再弁置換術は8例あり、血栓弁によるre-Konno手術が1例、生体弁の弁硬化が1例、残りの6例は、機械弁によるAVVR後の身体成長やパンヌス形成による再弁置換術で、内2例は再々弁置換術を受けた。全体での10年生存率は89%、全体での合併症(脳合併症+出血+血栓弁)回避率は、10年94%、20年83%であった。再手術回避率はAVRで10年100%、AVVR(生体弁除く)で10年50%であった(P=0.01)。生存例のNYHA分類は全例class1で、平均BNPは29.4±32pg/ml。中等度以上の弁周囲逆流を認める症例はなく、AVR後の大動脈弁位最高血流速度2.6±0.5m/s、AVVR後の左室最大流入速度1.9±0.3m/s。左室内径短絡率(LVSF)31.2±8.7%で、LVSF20%以下の症例は3例認めた。妊娠は4例あり、1例は中絶、1例は出産直後に母体死亡、1例は出産後生体弁が機械弁に再弁置換術となり、1例は合併症なく出産した。【結論】当院での、弁置換術後の生存率、合併症回避率は良好であった。小児期AVVRは再弁置換術が必要となるが、遠隔期に心不全症状を認める症例はなく経過している。しかし、患者の転院や抗血栓療法の自己中断、妊娠などの問題が術後合併症に直結しており、厳密な管理が必要である。