The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Poster

外科治療遠隔成績

Poster (I-P16)

Fri. Jul 7, 2017 6:00 PM - 7:00 PM Poster Presentation Area (Exhibition and Event Hall)

Chair:Kyoichi Nishigaki(Pediatric Cardiovascular Surgery, Osaka City General Hospital)

6:00 PM - 7:00 PM

[I-P16-02] 遠隔期Failing Fontan発生率及びそのリスク因子の検討

水野 雄太1, 白神 一博1, 朝海 廣子1, 進藤 孝洋1, 平田 陽一郎1, 犬塚 亮1, 相馬 桂2, 齊藤 暁人2, 稲葉 俊郎2, 八尾 厚史2 (1.東京大学 医学部 小児科, 2.東京大学 医学部 循環器内科)

Keywords:Fontan, 長期予後, リスク因子

【背景】Fontan手術を施行した多くの患者が成人期を迎えているが、その長期予後について検討した研究は未だ数少ない。今回我々は自施設で施行したFontan症例で、その長期予後とリスク因子の関連について比較検討した。【方法】1993年から2010年までに自施設でFontan手術を施行し、術後病院死せずに退院した56症例を対象とした。Failing Fontanを1)血栓、2)塞栓、3)蛋白漏出性胃腸症(PLE)、4)心不全(NYHA3度または4度)、5)退院後発症した不整脈と定義し、Failing Fontanの発生率及びそのリスク因子を後方視的に調査した。リスク因子としては性別、解剖学的診断、Fontan術式、Fontan術前術後の心臓カテーテル検査値を検討し、イベント発生率の比較はコックス・マンテル検定を用いて行った。【結果】対象は男性28名、女性は28名で、手術時年齢中央値(IQR)は2.5(2.0-4.8)歳であった。全症例の観察期間中央値(IQR)は8.5(6.2-12.8)年であった。解剖学的診断は、単心室17例、房室中隔欠損症3例、房室錯位症候群14例、三尖弁閉鎖症8例、左心低形成症候群8例、純型肺動脈閉鎖6例であった。Fontan術式は55例がExtracardiac Fontanであり、1例は不明であった。観察期間中に死亡した症例は3例(10年生存率96%)であり、死因はいずれも悪性腫瘍であった。Failing Fontanを満たす症例はそれぞれ、血栓3例、塞栓2例、PLE3例、心不全3例、不整脈3例であった。術後10年時点でのFailing Fontan回避生存率は82.5%であった。Failing Fontanのリスク因子は、房室弁形成または置換の施行(HR 4.77, p=0.016)、Fontan術前の肺血管抵抗(HR 2.26, p=0.05)であった。【結論】遠隔期生存率は良好であったが、10年で約20%のFailing Fontanを認めた。特に房室弁機能が低下している症例でFailing Fontanのリスクが高いことがわかった。このようなハイリスク症例における治療の最適化方法についてさらなる研究が必要である。