第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

パネルディスカッション

パネルディスカッション 1 (I-PD1)
成人先天性心疾患

2017年7月7日(金) 16:00 〜 17:45 第1会場 (1F 展示イベントホール Room 1)

座長:鎌田 政博(広島市立広島市民病院循環器小児科)
座長:河田 政明(自治医科大学 とちぎ子ども医療センター心臓血管外科)

16:00 〜 17:45

[I-PD1-02] 先天性心疾患術後心房性不整脈を有する患者のrhythm management

松村 雄, 坂口 平馬, 宮崎 文, 羽山 陽介, 根岸 潤, 大内 秀雄, 白石 公 (国立循環器病研究センター 小児循環器科)

キーワード:不整脈, 心房頻拍, カテーテルアブレーション

【背景】先天性心疾患術後患者の心房性不整脈にはカテーテルアブレーション(ABL)が非常に有効である。一方で術後に非持続性頻拍や新たな頻拍の対応に苦慮する症例も多く存在する。以前、我々は包括的な血行動態への介入が治療戦略として重要であること報告した。今回、我々はABL後も治療に難渋する心房性不整脈の要因を検索することを目的とした。【方法】対象は2001年から2016年に二心室修復後に合併した心房性不整脈に対してABLを行った85症例のうち、3Dマッピングにて心房面積を測定できた47症例。治療難渋群をABL後も何らかの心房性不整脈で加療している患者と定義し、非難渋群との比較を行った。検討項目は、ABL成功率、年齢、術式、開胸手術回数、心房スイッチ術の有無、再発の有無、ABL中のマッピングで得た心房面積、低電位領域、sinus node dysfunction (SND)の有無。SNDの定義は最小心拍数40bpm以下もしくは2.5秒以上のポーズ、持続する接合部調律、頻脈治療後に一時ペーシングを要する症例をSNDと定義した。【結果】治療対象とする心房性頻脈に対する急性期成功率は93%であった。治療難渋群は47例中31例(66%)であった。治療難渋群の急性期成功率は90%であった。心房ペーシングを行っていたのは9例(19%)ですべて治療難渋群に属していた。うち3例はABL後に新規にペースメーカ植え込み術を施行していた。2群間で有意差を持ったのはSNDの有無であった。(p=0.01) 手術回数、心房スイッチ術、心房面積、低電位領域の面積は両群間に差は認めなかった。【結語】CHD術後における心房性不整脈においてSNDを合併する症例はABL後も頻拍性不整脈のコントロールに難渋する。治療に難渋する頻脈性不整脈患者は頻脈のみならず徐脈に対する介入も重要である。