1:05 PM - 2:35 PM
[I-PD2-03] Risk factors, prevention and treatment for surgical site infection after cardiac surgery in children
Keywords:手術部位感染, 小児心臓外科, 危険因子
【目的】小児心臓外科領域のSSIの危険因子及び予防策と治療について検討する。【方法】2010年4月から2016年12月までに当院で施行した、小児心臓外科手術(胸骨正中切開及び側開胸)957例を対象とし、SSIの危険因子及び予防策と治療に関して検討を行った。当院では周術期予防抗菌薬としてCEZを術後2日目までに限定して使用しており、最近は術前の皮膚消毒に新規消毒薬であるオラネキシジングルコン酸塩を使用している(100例)。創閉鎖においては筋膜・浅筋膜など膜構造を意識した閉鎖を心掛けており、SSI治療は縦隔洞炎に対してもVAC療法を積極的に用いている。【結果】SSIを11例(1.1%)に認め、内訳は縦隔洞炎6例、BTシャント後の感染性仮性瘤1例、皮下までの創部感染4例であった。手術施行から再開創までの日数は中間値18日であり、起炎菌はMRCNS 4例、MSSA 3例、MRSA 2例、不明2例であった。「乳児、機能的単心室、姑息術、術後再開胸、人工心肺時間105分以上、二期的閉胸、術後ECMO使用、オラネキシジングルコン酸塩使用」の項目について単変量解析を行うと、術後ECMO使用(p=0.0002)が有意な因子となり、ロジスティック回帰分析においても、術後ECMO使用(p=0.002)のみが有意な危険因子となった。VAC療法はSSI 11例中8例(縦隔洞炎6例全て含む)に施行した。縦隔洞炎6例において開胸からVAC装着までは中央値0.5日で、開胸から閉胸まで中央値21.5日であった。VAC交換は基本的に隔日で行っているが、創再閉鎖に向けての肉芽増生、wound bed preparationに有効な印象があり、創洗浄の処置軽減にもつながった。治療後は全例で感染の再燃を認めていない。【結語】当院におけるSSI発生に関して、術後ECMOの使用が有意な危険因子となった。VAC療法を積極的に用いることで創部の治癒促進と処置負担軽減が得られた。オラネキシジングルコン酸塩の使用を開始後、SSI発生に有意差はこれまでのところ認められなかった。