第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

パネルディスカッション

パネルディスカッション 2 (I-PD2)
Non-cardiac complication

2017年7月7日(金) 13:05 〜 14:35 第4会場 (1F 展示イベントホール Room 4)

座長:大崎 真樹(静岡県立こども病院循環器集中治療科)
座長:鈴木 孝明(埼玉医科大学国際医療センター小児心臓外科)

13:05 〜 14:35

[I-PD2-06] 新生児期先天性心疾患に消化管穿孔、壊死性腸炎を発症した症例の臨床像

豊川 富子, 高橋 邦彦, 江見 美杉, 松尾 久美代, 田中 智彦, 平野 恭悠, 青木 寿明, 萱谷 太 (大阪府立母子保健センター)

キーワード:壊死性腸炎, 先天性心疾患, 臨床像

【背景】先天性心疾患に消化管穿孔、壊死性腸炎(NEC;Necrotizing Enterocolitis)を発症するリスクとして単心室や動脈管依存性疾患があるが、臨床像についての報告は少ない。【目的】当院で先天性心疾患にNECを発症した症例の患者背景、臨床像を解明し、リスク因子を検討する。【対象と方法】当院で経験したNEC発症(N群)6例を解析。さらに単心室かつ動脈管依存性でNEC未発症例(C群)10例と比較し診療録から後方視的に検討。【結果】N群の患者背景は単心室(SV)3例、二心室(BV)3例。NEC発症日は日齢1~14日(中央値9日)で、6例中5例は診断と同日に緊急手を施行。1例は保存的加療後、1か月後に人工肛門造設施行。死亡例はSVの2例。1;21trisomy,unbalancedCAVC,PDA,重度房室弁逆流。日齢1にインドメタシン(IND)使用。日齢9にNEC発症、日齢23にPABを施行するも術中急変のためECMO装着。4日後にECMO離脱したがその後頭蓋内出血を併発し日齢73に永眠。2;RIH,SV,PA,重度房室弁逆流。日齢5よりカテコラミン、N2使用。日齢14にNEC発症。日齢30に両側PAB施行したが状態悪化し日齢53永眠。BV症例は、1;TOF,PA,PDA,MAPCAによるhigh flow、2;TGAで搬送時ショック状態、3;DORVの低出生体重児でIND使用後に各々NECを発症。C群との比較では在胎週数はN群32.6週~38.6週(中央値37.6週)、C群39.3~41週(中央値39.5週) (p=0.009)と有意差認めたが、出生体重(SD)は両群で有意差なし。染色体異常,重度房室弁逆流,出生時CTR,窒素,カテコラミン,INDの使用は両群で有意差なし。腹部大動脈血流ejection time(ET)はN群115ms~166ms(中央値153.5ms)、C群150ms~207ms(中央値169ms)(p=0.03)で有意差あり。【結論】SVでは重度の房室弁逆流の存在、BVでは低いETがNEC発症及び死亡のリスクが高く、そのような症例では積極的にカテコラミンを使用して腸管血流を維持し、また栄養を制限して腸管の安静を保つことも必要である。