4:15 PM - 5:45 PM
[I-PD3-02] Lung transplantation for pediatric patients with pulmonary hypertension
Keywords:肺移植, 肺高血圧, PGI2
【背景・目的】肺動脈性肺高血圧症は本邦の脳死両肺移植の最多であるが国際データでは移植後急性期死亡率が高いことが知られている。当科の小児、小児期発症の肺高血圧症に対する肺移植症例を検討した。【対象・方法】2008年より2016年までに当科で施行した肺移植151例のうち膠原病関連を除く1/1’群肺高血圧症例は13例で、小児例3例、小児期発症成人6例の計9例(IPAH 6例、CHD関連2例、PVOD 1例)の周術期経過、主肺動脈径、長期成績、小児例の身長と肺機能の経過を検討した。【結果】小児症例は全て生体肺葉移植、小児期発症成人6例では発症から移植までは中央値11年で5例が脳死肺移植であった。IPAHは全例術前経静脈PGI2を使用しており、初めの3例では術中にPGI2を終了したが、術後閉胸しえずECMOを要し循環動態は不安定であった。最近の3例では術後にPGI2を漸減中止しており、全例一期的閉胸可でECMOは不要であった。移植前平均35 mmと拡大していた主肺動脈径は移植後3ヶ月後には平均26 mmと速やかに縮小した(p<0.01)。CHD合併2例(小児例1)を在院死亡で失ったが、その他7例は全例生存中である(3年生存率78%、median f/u 3.6年)。生存中の小児2例は術後1年から4年で身長は19%, 23%伸び、肺活量は40%, 57%増加した。【考察】術後PG12減量中止法によりIPAH例の術後血行動態は安定した。主肺動脈の拡張は瘤化していなければ移植時に置換せず可逆性に期待できる。小児例では脳死ドナーが少なく生体肺葉移植を選択せざるをえないが、グラフトサイズ不足や逆に乳幼児では胸郭にグラフトが収まらないという問題が起こりうる。また小児例は成長に伴い相対的にグラフト容量・機能が不足しないか、体格、肺機能を長期的にフォローする必要がある。【結語】内科的治療に抵抗性の重症肺動脈性肺高血圧症に対して肺移植は有効な治療法である。先天性心疾患関連の肺高血圧症については移植適応をさらに検討する必要がある。