第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

パネルディスカッション

パネルディスカッション 3 (I-PD3)
重症肺高血圧症の肺移植適応

2017年7月7日(金) 16:15 〜 17:45 第4会場 (1F 展示イベントホール Room 4)

座長:伊達 洋至(京都大学呼吸器外科)
座長:土井 庄三郎(東京医科歯科大学小児科)

16:15 〜 17:45

[I-PD3-03] 当科で肺移植が検討された肺高血圧症例の患者背景

中山 智孝1, 池原 聡1, 高月 晋一1, 佐地 勉2, 松裏 裕行1 (1.東邦大学 医療センター大森病院 小児科, 2.東邦大学 医学部 心血管病研究先端統合講座)

キーワード:肺高血圧, 術前管理, 肺移植

【背景】肺高血圧症(PH)の予後は内科治療の進歩により大幅に改善されたが、治療抵抗性の重症例は極めて予後不良で肺移植(LT)が唯一の救命手段となる。しかしドナー不足ゆえLT登録待機患者の約40%が待機中に死亡する。改正法施行後、脳死LT数は増加し待機期間は短縮されつつあるが、小児患者では適合するドナーの出現機会が少なく、生体LTを含めた検討を要する。【目的】LTx・死亡に至ったPH症例を見直してLTの適切な時期や術前管理を検討する。【対象】1994年4月以降、当科に入院し定期観察しえたPH症例のうち早期死亡9例を除く110例。診療録をもとにLT登録状況、LT・死亡例の患者背景を調査。【結果】平均7.0±4.4年(1.2~20年)の観察期間中にLT13例(A群)、死亡26例(B群)。A群の初診時年齢は6.5~37.8(中央値11.7)歳、生体8例(渡航1例含む)・脳死5例。基礎疾患はI/HPAH10例・CHD1例・その他2例。初診からLTは1.8~10.9(4.7)年、登録した5例の待機期間は1.9~6.4年。術前治療はエポプロステノール(EPO)9例・カテコラミン8例、LT施設での長期入院2例。一方、B群の基礎疾患はI/HPAH14例・CHD6例・その他6例。死因は心不全14例・喀血4例・感染症3例・突然死5例、心不全死14例中LT登録は5例のみ(待機期間0.2~4.5年)。生存71例中EPO37例でWHO-FC IIIの7例でLT登録(準備中含む)を完了し待機期間1.6~11.6年。【結論】PH重症例では初診時から生体LTの可能性や約4年の待機期間を考慮したLT登録を検討すべきである。