第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム 3 (I-S03)
心機能を診る

2017年7月7日(金) 16:00 〜 17:45 第2会場 (1F 展示イベントホール Room 2)

座長:増谷 聡(埼玉医科大学総合医療センター小児循環器科)
座長:森 善樹(聖隷浜松病院小児循環器科)

16:00 〜 17:45

[I-S03-03] MRIを用いて、心室機能の何がわかるか?

石川 友一1,2 (1.福岡市立こども病院 循環器科, 2.心臓画像クリニック飯田橋)

キーワード:心室機能, MRI, 拡張能

心室はフランク・スターリング特性(前負荷代償性)を有する優れたポンプであり、その機能は分時拍出量として評価される。臨床においては前負荷代償性(予備力)という視点が重要で、前負荷・収縮性・後負荷という構成成分の独立した評価が望ましい。一方、拡張能は弛緩能と心室硬度(充満能)に大別される。前者は臨床的には収縮性と表裏一体と言え、後者の心室硬度が前負荷代償性を規定する重要な成分である。心臓MRI(CMR)は心内腔と心筋のコントラストが高くウインドゥ制限がないため、心室内腔容積を正確に計測できるという特徴を有する。拍出量・駆出率はもちろん拡張末期容積から前負荷代償性の推定も可能である。Phase contrast法による流量計測も含めて、心室機能のゴールドスタンダードとされる所以でありCMRの基本である。加えて優れた時間分解能を利用した容積時間関係から収縮能としてpeak ejection fraction, 拡張能としてpeak filling rate等の指標が導かれる。Phase contrast法から求まるflow volume time curveからも様々な指標が考案されている。これらの基本的な指標に加え、近年はCMRの多芸性を応用した様々な心室機能指標が提唱されている。局所壁運動としてはfeature tracking法を用いたStrain計測・Tagging cineによる癒着評価などが汎用されている。また、XYZ軸3方向のPhase contrast 法を組み合わせ、血流ベクトルの時間変化からエネルギー損失を算出する4D Flow MRIも心室の仕事効率を反映した新しい評価法といえるだろう。さらにT1 mappinngを用いた細胞外容積分画(線維化の指標)は独立した心室硬度指標とされる。質的評価を機能に置換する新しい切り口である。今後、小児循環器領域でのCMRのさらなる臨床応用を期待したい。