E-Oral Presentation　5 (II-EOP05)

[II-EOP05-08] Fontan循環における中心静脈圧の非侵襲的推定

^○寺師 英子¹, 山村 健一郎¹, 川口 直樹¹, 村岡 衛¹, 中島 康貴¹, 鵜池 清¹, 平田 悠一郎¹, 永田 弾¹, 坂本 一郎², 石川 司朗³ (1.九州大学病院 小児科, 2.九州大学病院 循環器内科, 3.福岡市立こども病院)

Keywords:Fontan術後, 中心静脈圧, エコー

【背景】Fontan循環では肺循環と体循環が直列につながり、肺動脈へは上下大静脈からの非拍動性の血流が肺動静脈圧較差によって流れており、中心静脈圧(CVP)は上昇する。高いCVPによる遠隔期の臓器障害が問題となっており、CVPは、Fontan循環の調子を端的に表す最も重要な値である。Fontan循環におけるCVPを推測する非侵襲的な方法に関しての報告はない。【目的】Fontan循環においてエコー所見でCVPを推測することが可能かを検討すること。【方法】当院の小児科外来でfollow中の小児Fontan術後患者30例(9.9±4.2歳、男15例・女15例)と成人先天性心疾患外来でfollow中の成人Fontan術後患者112例(26.2±5.7歳、男56例・女56例)において、エコーの下大静脈/下行大動脈径比(IVC/Ao比)および下大静脈(IVC)の血流速度とカテーテル検査で測定したCVPとの関連性を診療録から後方視的に検討した。【結果】IVC/Ao比とCVPとの間には成人と小児ともに有意な相関はみられなかった(p=0.27、p=0.88)。IVCの血流速度とCVPは成人においては有意な負の相関(p＜0.0001)を示したが、小児においては有意な相関はみられなかった(p=0.44)。成人においてCVP>15mmHgを陽性としたROC曲線ではCut off値を30.4cm/secとすると感度100％、特異度74.2％でCVP高値の症例を予測可能であった(AUC=0.934)。【考察】正常心において一般的にCVPの推測にはIVCの径と呼吸性変動が用いられているが、Fontan循環においてIVCの径は有用ではなかった。一方で、IVCの血流速度はFontan術後の成人においてCVPを推測するのによい指標となった。小児ではCVP＞15mmHgといったFontan循環の不良な症例がなかったため、相関がみられなかったのではないかと考える。今後さらなる症例での検討が望まれる。