The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

E-Oral Presentation

心筋心膜疾患/肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患

E-Oral Presentation 6 (II-EOP06)

Sat. Jul 8, 2017 6:15 PM - 7:15 PM E-Oral Presentation Area (Exhibition and Event Hall)

Chair:Hiroyuki Ohashi(Department of Pediatrics, Mie University School of medicine)

6:15 PM - 7:15 PM

[II-EOP06-07] 門脈肺高血圧症に対して肺血管拡張療法を施行し生体肝移植を施行した3例

益田 瞳1, 小野 博1, 中矢代 真美2, 賀藤 均1 (1.国立成育医療研究センター 循環器科, 2.沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 小児循環器内科)

Keywords:門脈肺高血圧症, 肝移植, 肺血管拡張薬

【背景】門脈肺高血圧症(PoPH)は肝・門脈疾患に伴う肺動脈性肺高血圧症で、重症肝硬変の5.3-8.5%に合併し、中等度以上のPoPHは肝移植の危険因子とされる。当センターにおいてPoPHを合併し生体肝移植を施行した3例を報告する。【症例】症例1:2歳6か月女児。原疾患は胆道閉鎖症。移植前平均肺動脈圧(mPAP)は35mmHg、肺血管抵抗(PVRI)は241 dynes・sec ・cm-5・m2、心係数(CI)6.6 L/min/m2であった。母をドナーとした生体肝移植を施行し、移植と同時にTadalafilを開始、移植後10か月で中止した。症例2:2歳8か月女児。原疾患は左側相同、胆道閉鎖症。2歳4か月時に両大血管右室起始、肺動脈弁狭窄に対して心内修復術を施行したが、術後4か月時に肺高血圧症を発症。mPAP 35mmHg、PVRI 321 dynes・sec ・cm-5・m2、CI 4.3 L/min/m2であった。Tadalafil、Ambrisentan、Beraprostを開始し、2か月後にmPAP 28mmHg、PVRI 118 dynes・sec ・cm-5・m2と治療に反応を示し、父をドナーとした生体肝移植を施行した。移植後3年6か月現在、Tadalafil、Ambrisentan 2剤継続中である。症例3:5歳男児。原疾患は胆道閉鎖症。移植前mPAP 45mmHg、PVRI 281 dynes・sec ・cm-5・m2、CI 5.5 L/min/m2であった。Epoprostenol、Sildenafil、Ambrisentanを開始し、9か月後にmPAP 26mmHg、 PVRI 168 dynes・sec ・cm-5・m2と治療に反応を示し、父をドナーとした生体肝移植を施行した。移植後1年8か月現在、3剤継続中である。【考察】成人の報告では肝移植前mPAP 35mmHg以上、PVR 250 dynes・sec ・cm-5は予後不良とされ、当センターでも指標としている。3例とも移植後のグラフト肝の機能は保たれ、現在まで死亡例はないが、2例は移植後も肺血管拡張薬を継続中である。近年積極的な肺血管拡張療法により肝移植の成功例が報告されているが小児での検討は少なく、今後も症例の蓄積を重ね、長期予後の検討が期待される。