The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

E-Oral Presentation

一般心臓病学/心臓血管機能

E-Oral Presentation 7 (II-EOP07)

Sat. Jul 8, 2017 6:15 PM - 7:15 PM E-Oral Presentation Area (Exhibition and Event Hall)

Chair:Miho Takahashi(Department of Child Health, Faculty of Medicine,University of Tsukuba)

6:15 PM - 7:15 PM

[II-EOP07-01] 房室弁逆流を持つFontan患者の潜在的心機能低下

堀本 佳彦, 浜道 裕二, 松井 拓也, 桑田 聖子, 小林 匠, 斉藤 美香, 石井 卓, 稲毛 章郎, 上田 知実, 矢崎 諭, 嘉川 忠博 (榊原記念病院 循環器小児科)

Keywords:房室弁逆流, Fontan, 心機能低下

【背景と目的】房室弁逆流(AVVR)は心機能低下を招き循環を損なうため、Fontanに至るまでに積極的に外科的治療介入が行われている。Fontanに到達すると駆出率の低下が生じない限り経過観察になることが多いが、潜在的に心機能障害が生じている可能性がある。Fontan後にAVVRが存在している群の特徴について検討した。【方法】対象は2010年~2015年に心臓カテーテル検査が施行されたFontan患者174人(2才~18才)。血行動態因子及び血液dataを、まずAVVRがII以上の群(AVVRII↑:27人)とそれ以外の群(147人)に分けて比較した。次にAVVRII↑を除いた147人をAVVR軽度群(65人)とAVVR無群(82人)に分け、同様の検討を行った。【結果】AVVRII↑の群ではAVVRII未満の群に比べて駆出率はほぼ同等(50% vs. 51%)であったが、心室拡張末期圧 (10.5 vs. 8.3 mmHg: p=0.016)、肺動脈楔入圧(9.4 vs. 6.8 mmHg: p=0.00033)、中心静脈圧 (≧15mmHg、40% vs. 20%: p=0.041)は上昇していた。また、心室拡張末期容積(132% vs. 102%: p=0.0023)、心室収縮末期容積(66% vs. 49%: p=0.0043)はAVVRII↑の群で大きかった。AVVRII↑の群ではNT-proBNP値(1156 vs. 241 pg/ml: p=0.0014)、GGT(136 vs. 66 IU/L: p=0.00011)は上昇し、Alb(4.2 vs. 4.4 g/dL: p=0.046)は低下していた。AVVRII↑を除いたAVVR軽度群とAVVR無群では、上記の血行動態に有意差を認めなかった。血液dataではGGTのみに有意差を認めた。【考察と結語】Fontan患者においてAVVRII↑を伴っている群では、AVVRがII未満の群に比べ、心室の圧負荷、容量負荷の上昇を認め、肝機能は低下していた。これらの心負荷、肝障害は軽減されることはなく、長期に渡って持続することになる。AVVRが軽度であれば、血行動態上の負荷は消失していた。Fontan患者ではたとえ駆出率が低下していなくとも、AVVRが強い場合は弁修復を試みた方が良い。