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[II-EOP07-04] 小児心疾患における頸部血管硬度と大動脈硬度の関係
キーワード:中枢神経循環, 頸動脈スティッフネス, 大動脈スティッフネス
背景: 一部の先天性心疾患では心内修復後も発達予後が不良なことが知られ、脳血流調節異常の関与が示唆される。この病態には高い中心静脈圧やRAS系活性化による循環調節機構の破綻に加え、これらの全身的な影響としての頸部血管硬化が関与する可能性がある。この頸部血管特性の変化は、先天性心疾患児にしばしば認められる血行動態/先天素因に依存した弾性組織変化を伴う血管硬化に修飾され、脳血流調節異常を更に不安定にさせるかは定かではない。方法: E-tracking法により内頚動脈硬度指標を評価した連続66例を対象に頸動脈血管硬度と頸動脈血流量、観血的に評価した上行(aAo)および下行大動脈(dAo)血管硬度指標との関連性を解析した。結果: 内頚動脈硬度は体表面積補正した中枢神経血流量と負の相関を示した(脈波伝播速度PWV、Ep、Ao compliance、stiffness β: p<0.05)。内頸動脈PWVは遠位大動脈PWVと有意な正の相関を示したが(p<0.05)、近位大動脈PWVとは明らかな関連性を認めなかった。また近位大動脈と遠位大動脈のPWV比が高いほど内頚動脈血流量が低下する傾向があり(p=0.056)、多変量解析ではdAo PWVが中枢神経血流量を規定することが示唆された。(aAo; p=0.085、dAo PWV; p=0.044、BP; p=0.26)結論: 内頸動脈血管硬度は内頚動脈血流量低下に関連するが、小児心疾患に伴う近位大動脈血管硬化よりも遠位大動脈の血管硬度を反映することから加齢や神経液性因子などの全身性血管リモデリングの影響下にある。近位大動脈血管硬化は独立して中枢神経循環を障害する可能性があり、更なる検討が必要である。