The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

E-Oral Presentation

一般心臓病学/心臓血管機能

E-Oral Presentation 7 (II-EOP07)

Sat. Jul 8, 2017 6:15 PM - 7:15 PM E-Oral Presentation Area (Exhibition and Event Hall)

Chair:Miho Takahashi(Department of Child Health, Faculty of Medicine,University of Tsukuba)

6:15 PM - 7:15 PM

[II-EOP07-06] 生理的な圧容積曲線の軌跡を定義する:収縮末期エラスタンスと前負荷動員一回仕事量の真の値の求め方

犬塚 亮1, 先崎 秀明2 (1.東京大学 小児科, 2.埼玉医科大学 総合周産期母子医療センター小児循環器部門)

Keywords:前負荷動員一回仕事量, 収縮末期圧容積関係, 再現性

【背景】収縮末期圧容積関係(ESPVR)や前負荷動員一回仕事量(PRSW)関係は負荷に依存しない収縮性の指標として有用である。これらは、負荷状態を変えながら記録した圧容積(PV)関係から求めるが、計測誤差などにより非生理的ループが混入することで、同一患者でもPVループの軌跡が変わり、求まる指標の値が異なることがある。我々は、PRSW関係の直線性から数学的に「PRSW関係のX軸との交点(Vsw)と傾き(Msw)をPV平面上にプロットした時、その点(Vsw,Msw)はESPVR上にある」という関係を見出し、これに基づいてPVデータが生理的かどうか判定するプログラムを開発した。
【方法】右心カテを行った患者22人の右室PVデータを後方視的に解析した。バルサルバ法で負荷を変化させた時のESPVRの傾き(Ees)、PRSW関係の傾き(Msw)を求めた。これを同一患者に対し2回ずつ行うことで、繰り返し測定の再現性を確認した。プログラムを用いて非生理的PVループを除外した後にEes、Mswを再計算し、それぞれの指標について繰り返し測定の再現性が改善するかを検証した。
【結果】2回測定の平均をとると、Eesは0.70±0.49mmHg/ml、Mswは24±8.7mmHgであった。一回目と二回目の乖離の標準偏差はEesで0.36mmHg/ml、Mswで4.7mmHgあり、繰り返し測定の相関はそれぞれr=0.84、0.87であった。プログラムにより20シリーズのPVデータが生理的と判定され、残りの24シリーズにおいて平均2.5±1.4ループが非生理的と判断された。それらの除外後にEes、Mswを再計算すると、一回目と二回目の乖離の標準偏差はEesでは0.39mmHg/mlと改善を認めなかったが、Msw では3.4mmHgと乖離の縮小を認め、繰り返し測定の相関もr=0.96と改善を認めた。
【結論】非生理的PVループの除外により、Mswを再現性高く求めることが出来た。複数回測定の平均値をとる従来の方法に比べ、効率よく真のMswの値を求めることの出来る画期的なアプローチと考えられた。