E-Oral Presentation　7 (II-EOP07)

[II-EOP07-07] Fontan患者における血清ビタミンD低値と血管機能、運動耐容能について

^○朝貝 省史, 稲井 慶, 清水 美妃子, 石井 徹子, 篠原 徳子, 杉山 央, 富松 宏文, 朴 仁三 (東京女子医科大学 循環器小児科)

Keywords:Fontan, serum VitaminD, vascular function

【背景】老年期の血清ビタミンD低値が血管機能障害を惹起し、心血管イベントの危険因子になるという報告は散見されているがFontan患者における血清ビタミンD値や血清ビタミンD低値と血管機能や運動耐容能との関係は明らかになっていない。【目的】Fontan患者における血清ビタミンD値並びに血清ビタミンD低値の原因や血管機能、運動耐容能との関係を明らかにする事。【対象と方法】2013年6月から2017年1月までに予定入院したFontan患者で血管硬度の検査を行ったPLE患者を除く45人について診療録から後視的に検討した。男性19人 (42％)、年齢は中央値25.9歳（12.8‐55.8歳）、Fontan術後年数は中央値18.0年（8.2‐31.3年）、NYHA分類I度: 29人、II度: 16人。【結果】血清ビタミンDが低値（血清25(OH)D: ＜20ng/ml）であった患者は33人(73%)であった。低ビタミンD群（25(OH)D: ＜20ng/ml）と正常群（25(OH)D: ≧20ng/ml）の2群間で比較したところ、低ビタミンD群で優位に高年齢 (28.7±8.8 vs 20.3±6.6歳、p:0.004)であり、GFRは低下傾向 (88.3±18.7 vs 101.2±20.2 ml/min/1.73m₂、p:0.05)であった。また低ビタミンD群で優位にFMDは低値 (6.8±2.2 vs 8.4±2.1 ％、p:0.03)、PWVは高い傾向 (1040±201 vs 922±161 m/s、p:0.08)であり、6分間歩行距離は有意に短かった (479±67 vs 547±84 m、p:0.007)。【考察】Fontan患者は若年者においても血清ビタミンDが低値であり、血清ビタミンD低値が血管機能障害や運動耐容能に関係している。【結語】Fontan患者の約75％で血清ビタミンD値が低下していた。年齢と腎機能障害が血清ビタミンD値に影響している可能性がある。また、Fontan患者の血管機能障害並びに運動耐容能低下に血清ビタミンDの低下が関与している。