The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

JSPCCS-JCC Joint Session

JSPCCS-JCC Joint Session (II-JJS)

Sat. Jul 8, 2017 10:10 AM - 11:40 AM ROOM 4 (Exhibition and Event Hall Room 4)

Chair:瀧聞 浄宏(長野県立こども病院 循環器科)
Chair:Kagami Miyaji(Department of Cardiovascular Surgery, Kitasato University School of Medicine)

10:10 AM - 11:40 AM

[II-JJS-01] 小児でみる先天性僧帽弁疾患

武井 黄太, 瀧聞 浄宏, 安河内 聰 (長野県立こども病院 循環器小児科)

僧帽弁の構造は、僧帽弁輪・弁尖・交連と、弁下組織である腱索、乳頭筋、(左室心筋)から構成される僧帽弁複合体という概念で捉えられる。房室弁の発生には心内膜床組織からの形成と、心室筋のUnderminingが関与しており、それらの発生過程のいずれかにおける異常によって先天性僧帽弁疾患が生じる。Davachiらは先天性僧帽弁異常の形態を、①弁尖の異常、②弁交連の異常、③腱索の異常、④乳頭筋の異常、⑤僧帽弁成分の2つ以上の異常の5 つに分類して報告しており、それぞれ①重複僧帽弁口、僧帽弁裂隙、僧帽弁上狭窄輪、②交連癒合、③短小腱索、④パラシュート僧帽弁、アーケード僧帽弁などの疾患が含まれる。また、先天性ではないが乳児特発性僧帽弁腱索断裂も小児では重要な疾患である。
これらの僧帽弁疾患に対する治療介入は合併心疾患や成長を考慮して考える必要があるが、特に僧帽弁閉鎖不全(MR)では可能な限り弁形成術を選択したい。しかし小児では成人で多くみられるBarlow病や機能性MRとは異なる機序が成因となっていることが多く、2D経胸壁心エコーのみならず、3D心エコー、経食道心エコー、術中経心膜心エコーを駆使してより詳細に弁逆流のメカニズムを診断し、心臓外科医へ弁構造に関する情報を伝え、治療戦略を考えなくてはならない。
当院ではこれまでに15歳以下の小児30例(手術時年齢4.7±4.7歳)に対して僧帽弁形成術25回、僧帽弁置換術17回を行った。このうち15例はMRで、成因は僧帽弁逸脱10例、腱索断裂2例、僧帽弁裂隙1例、僧帽弁低形成1例、感染性心内膜炎1例であった。僧帽弁狭窄はパラシュート僧帽弁の1例のみで、残る14例は房室中隔欠損術後の症例であった。
本シンポジウムでは非手術例も含めて当院で経験した症例を提示し、小児の僧帽弁疾患の画像評価と治療戦略について考察する。