第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患

一般口演 27 (II-OR27)
肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患 1

2017年7月8日(土) 08:30 〜 09:20 第5会場 (1F 展示イベントホール Room 5)

座長:土井 拓(天理よろづ相談所病院小児科、先天性心疾患センター)

08:30 〜 09:20

[II-OR27-03] 小児肺動脈性肺高血圧症の末梢肺動脈造影による非可逆性病理変化の評価

小宮 枝里子, 山口 洋平, 前田 佳真, 土井 庄三郎 (東京医科歯科大学 医学部附属病院 小児科)

キーワード:肺動脈性肺高血圧症, 肺動脈造影, Heath-Edwards分類

【背景】肺動脈性肺高血圧症(PAH)は進行性疾患であり、進行した細小肺動脈病変は病理学的リモデリングによる変化であるにもかかわらず、その細小肺動脈病変は胸部X線やCTでは評価ができず、また肺生検はリスクを伴うため、PAHの重症度は病理学的変化ではなく肺循環の血行動態や右室機能で判断している。原則的にPAHの肺動脈造影は禁忌であるが、必要な場合にはカテーテル検査終了前に末梢で造影することは許容されている。我々は末梢肺動脈造影から得られる細小肺動脈の形態や造影剤のwashout所見から、病理学的リモデリングの程度を評価できないか検討した。【方法】当科に入院し造影可能と判断したPAH患者9例(IPAH 5例、HPAH 2例、ASD/VSD・PHの術後患者2例)を対象に、カテーテル検査時に末梢肺動脈造影を施行し、末梢肺動脈の先細り、分枝低形成、綿状造影所見と造影剤のwashout停滞所見の有無について、正常例と比較検討した。【結果】9症例のうち、5例で末梢肺動脈の先細りと造影剤のwashout停滞所見を認めた。うち2例は特徴的な綿状の造影所見を認めた。また5例で分枝の低形成を認めた。【考察】綿状の造影所見はEpoprostenol長期使用例で認めたとの報告があるが、当科で認めた2例のうち1例はEpoprostenol未使用例であった。2例はいずれもPAHの治療を長期に行っているが治療抵抗性であり、Heath-Edwards分類4度以上の非可逆性側副血行による血管拡張性病変を示唆するものと推測された。末梢肺動脈造影により細小肺動脈の非可逆性病変への進行を評価できる可能性が示唆された。