9:20 AM - 10:10 AM
[II-OR28-01] 肺血流シンチグラフィによる肺動脈性肺高血圧症の右室機能評価
Keywords:肺高血圧, 肺血流シンチグラフィ, 右室駆出率
【背景】99mTc-MAA肺血流シンチグラフィ(以下、肺血流シンチ)は右室駆出率(RVEF)も同時に評価することが可能である。【目的】肺血流シンチによる肺動脈性肺高血圧症(PAH)のRVEFと臨床データについて検討する。【対象と方法】対象は特発性/遺伝性PAH18例で、肺血流シンチ施行時年齢の中央値は19.7歳(6.8-27.3歳)、男女比は9:9 、NYHA 機能分類IIが16人、IIIが2人である。肺血流シンチ施行時は99mTc-MAA 370~470MBqを安静仰臥位にて静注し、First-pass法(RAO)で約20秒間のデータ集積を行い、最大カウント(EDC)、最小カウント(ESC)を用いてRVEF=(EDC-ESC)/EDCを算出した。肺血流シンチ施行前1か月以内に行った6MWD、BNP、CTR、心エコー、心血行動態指標と比較検討した。【結果】RVEFの平均値は50.3±7.5%で心エコーによるRV Tei Indexとは負の相関傾向(0.56±0.28、r=-0.49、p=0.06)を認めたが、TAPSE(21.5±5.7mm)とs’(11.8±3.3cm/sec)には相関を認めなかった。同様に、6MWD(541.2±83.6m、r=-0.45、p=0.07)、BNP(30.3±39.7pg/ml)、CTR(51.3±5.2%)に相関はなく、心臓カテーテル検査で求めた心係数(CI:3.53±0.65 l/min/m2)、平均肺動脈圧(53.9±19.3mmHg)、肺血管抵抗値(13.6±6.6 unit・m2)、肺体血管抵抗比(0.69±0.3)と相関がなかった。しかし、重回帰分析では6MWD、RV Tei Index、CIに関連をみとめた(RVEF=-17.01*RV Tei Index+1.07*CI+56.16、R2=0.60、p<0.05)。肺血流シンチは不均一な肺野末梢循環不全16人、両側下肺野の低集積1人、両側中下肺野背側を中心に高度な限局性低集積1人であった。高度な限局性の低集積があった症例のRVEFは41.3%と低値であり肺循環低下を示唆する所見と考えられ、今後症例数の集積が必要と考えられた。【結語】肺血流シンチ施行時にRVEF測定は可能で重回帰分析から右心機能非侵襲的に評価する方法として有用であると考えられた。