The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Free Paper Oral

肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患

Free Paper Oral 29 (II-OR29)

Sat. Jul 8, 2017 10:15 AM - 11:05 AM ROOM 5 (Exhibition and Event Hall Room 5)

Chair:Hirofumi Sawada(The Department of Anesthesiology and Critical Care Medicine / Pediatrics Mie University School of Medicine)

10:15 AM - 11:05 AM

[II-OR29-01] 肺動脈性肺高血圧に対するONO-1301 nano-sphere製剤の有効性の実験的検討

金谷 知潤, 上野 高義, 平 将生, 小澤 秀登, 松長 由里子, 木戸 高志, 奥田 直樹, 渡邊 卓次 (大阪大学大学院医学系研究科 心臓血管外科)

Keywords:肺高血圧, ONO1301, ラット

【背景】特発性肺動脈性肺高血圧(IPH)は、予後不良の難治性疾患であり、重症例に対してはprostaglandin (PG)I2 製剤のepoprostenol全身静脈持続投与を行うが、降圧作用やカテーテル留置の問題があり、新たな治療薬の開発が待たれる。一方で、血管透過性亢進部位に小粒子が受動的に拡散する効果(EPR効果)を利用したnano delivery systemは、薬剤を障害臓器へ特異的に集積させることが知られている。そこで、PGI2 agonistであるONO 1301のnano製剤(ONO1301NS)を作成し、進行性肺高血圧ラット(PHRt)に全身静脈投与することで、これが障害肺特異的に集積し、肺高血圧の進行を抑制する効果を示すことを仮説とし、動物実験を行った。【方法】200gの雄のSDラットに、VEGF receptor inhibitorであるSU5416を20μg/g皮下注した後、低酸素条件下(O2 10 %)で21日間飼育し、その後、通常酸素条件に戻して14日間(計35日間)飼育し、PHRtを作成した。<実験1>まず、Texas redで標識したnano粒子を正常SDラットとPHRtの各群に全身静脈投与し、24時間後に肺組織を摘出し、免疫染色で肺への集積を比較した。<実験2>SU5416投与後21日目と28日目に、治療群(n=9)はONO1301NSを、非治療群(n=10)は生理食塩水を3 μg/gずつ全身静脈投与し、両群ともに35日目に血行動態、組織学的評価を行った。【結果】<実験1>正常SDラットと比較し、PHRtでより強くTexas redが染色された。<実験2>治療群及び非治療群の血行動態評価は、それぞれ平均肺動脈圧 は19.3±5.6 vs 25.8±4.7 mmHg (P=0.03)、右室圧-左室圧比は0.49±0.12 vs 0.68±0.11 (P=0.015)と有意に治療群での改善を認めた。組織学的評価では、小肺動脈の%medial thicknessは20.8±4.8 vs 36.6±8.5 % (P<0.0001)と有意に治療群で改善を認めた。【結語】PHRtにおいてONO1301 NSの全身静脈投与により、障害肺特異的に薬剤が集積し、血行動態的、組織学的に肺高血圧の進行を抑制した。