08:30 〜 09:20
[II-OR32-01] 左心低形成症候群に対するChimney reconstructionの流体力学解析
キーワード:chimney reconstruction, 流体力学解析, energy loss
【背景と目的】左心低形成症候群(HLHS)および類縁疾患に対する外科治療において、遺残大動脈狭窄(reCoA)、新大動脈基部拡大、新大動脈弁逆流(neoAR)などが遠隔期問題となる。当施設では上記合併症回避のために、補填物を用いず新大動脈基部の円錐状形成による長軸延長と短径短縮を行うchimney reconstruction(CR法)を考案し、Norwood手術(N術)時の新大動脈弓部再建に導入してきた。今回、N術の中期遠隔成績と流体力学解析を用いてCR法の有用性について検討した。
【方法】2013年1月から2016年12月まで当院でN術を施行した11例(N術時月齢2.4±1.5ヶ月, 体重3.73±0.76kg)の中期遠隔期成績を検討した。さらに術後造影CTを撮像し得た7例の新大動脈弓に対して流体力学解析を施行した。
【結果】N術生存率82%、1年生存率は73%。TCPC到達2例、TCPC待機4例、BCPS待機1例。新大動脈による肺動脈圧排は0例、reCoA 1例(8%,BCPS時に介入)、neoAR 0例。流体力学解析を施行しえたreCoAのない6例の新大動脈弓は、弓部での有意な加速や乱流を生み出さず、wall shear stressも低かった。平均Energy loss(EL)/BSAは11.11mW/m2(9.16-14.43)であった。
【考察と結語】reCoA 1例を除き、他の全例で CR法により低いELパフォーマンスが得られた。CR法による長軸延長で補填物なしでも新大動脈弓吻合部の緊張を減らすことだけでなく、なだらかな円錐状の新大動脈基部形成により下行大動脈との口径差を改善し、高いELを回避し得た。CR法は流体力学的に低いELが期待できる有用な大動脈弓再建術式と考えられる。流体力学的解析により本症の外科治療に有用な情報が得られた。
【方法】2013年1月から2016年12月まで当院でN術を施行した11例(N術時月齢2.4±1.5ヶ月, 体重3.73±0.76kg)の中期遠隔期成績を検討した。さらに術後造影CTを撮像し得た7例の新大動脈弓に対して流体力学解析を施行した。
【結果】N術生存率82%、1年生存率は73%。TCPC到達2例、TCPC待機4例、BCPS待機1例。新大動脈による肺動脈圧排は0例、reCoA 1例(8%,BCPS時に介入)、neoAR 0例。流体力学解析を施行しえたreCoAのない6例の新大動脈弓は、弓部での有意な加速や乱流を生み出さず、wall shear stressも低かった。平均Energy loss(EL)/BSAは11.11mW/m2(9.16-14.43)であった。
【考察と結語】reCoA 1例を除き、他の全例で CR法により低いELパフォーマンスが得られた。CR法による長軸延長で補填物なしでも新大動脈弓吻合部の緊張を減らすことだけでなく、なだらかな円錐状の新大動脈基部形成により下行大動脈との口径差を改善し、高いELを回避し得た。CR法は流体力学的に低いELが期待できる有用な大動脈弓再建術式と考えられる。流体力学的解析により本症の外科治療に有用な情報が得られた。