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[II-OR32-02] Norwood手術におけるRV-PA conduit使用例の合併症と対策
キーワード:Norwood, RV-PA conduit, complication
【目的】左心低形成症候群に対するNorwood手術の成績は,RV-PA conduitの採用などにより当院でも徐々に改善し,2010年以後7年間の連続37例で手術死亡2例,入院死亡3例で,生存退院は86%となった.しかしRV-PA conduitによる合併症も経験し,逐次対策を講じてきたのでその効果につき検討した.【方法】37例のうちBTSの7例を除き,ePTFE ring付きgraftによるRV-PA conduitを用いた30例を対象とした.これらを中枢側吻合法で,前半20例のnon-Dunk法群,後半10例のDunk法群に分けて検討し,さらにBDG前に死亡した4例とBDG待機中の2例を除いた24例でBDG時のconduitの処理方法で経時的に3群(I期:2010-1年(7例),II期:2012-3年(10例),III期:2014-6年(7例))に分け,心室造影,造影CTで吻合部の形態を評価した.I期ではgraft離断,閉鎖のみ.II期は心室壁にマットレス縫合を追加,III期はgraftを完全切除し縫合閉鎖した.【結果】non-Dunk法群では2例に吻合部の心室仮性瘤を生じ,1例ではBDG前に1例はBDG後に拡大し手術介入した.Dunk法群では1例で吻合部が心筋内で狭窄を生じ翌日パッチ拡大を要した.I期では6/7例でgraft断端の遺残による死腔が残存し1例が仮性瘤となった.II期ではマットレス縫合を追加し仮性瘤は生じていないが6/10例に死腔の残存が見られた.III 期では死腔の残存や仮性瘤の発生はなかった.【考察と結語】RV-PA conduitは術後急性期にも安定した血行動態が得られる優れた術式だが,non-Dunk法は心室切開時に内膜の切開が小さいと狭窄を生じやすかったり,縫合時に内膜にしっかりかかっていないと仮性瘤を生じやすいと思われた.Dunk法により仮性瘤は発生しにくくなったが,graftの全長や挿入長には注意が必要と思われた.BDG時のconduitの処理では,長期的な仮性瘤の予防の観点から,完全graftを除去し心停止下に内膜を確認しながら吻合部の閉鎖をすることが必要と考えられた.