第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

外科治療

一般口演 32 (II-OR32)
外科治療 5

2017年7月8日(土) 08:30 〜 09:20 第6会場 (1F 展示イベントホール Room 6)

座長:宮地 鑑(北里大学医学部 心臓血管外科)

08:30 〜 09:20

[II-OR32-04] 左心低形成症候群に対する両側肺動脈絞扼術後の肺動脈の成長

小田 晋一郎, 中野 俊秀, 檜山 和弘, 財満 康之, 阪口 修平, 原田 雄章, 宮城 ちひろ, 内山 光, 角 秀秋 (福岡市立こども病院 心臓血管外科)

キーワード:左心低形成症候群, 両側肺動脈絞扼術, グレン手術

【目的】左心低形成症候群とその類縁疾患に対する両側肺動脈絞扼術(bPAB)後の末梢肺動脈径について検討した。【対象】2014年から2016年までのbPAB40例の内、rapid Norwood 13例を除いた、27例を対象とした。Norwood+グレン手術(N+G)可能14例(N+G群)、不可能10例(Norwood; N群)、N+G待ち3例であった。CTによる左右肺動脈下葉枝径の合計をBSAで除した値を肺動脈値とした。【結果】N+G群とN群のbPAB術前肺動脈値53.6±10.0、52.2±9.6mm/m2(p=0.79)、stage 2術前肺動脈値50.3±8.7、39.0±12.3mm/ m2(p=0.01)であった。N+G可能な肺動脈の大きさの一つの参考値として、ROC曲線により求めたstage 2術前肺動脈値閾値は41.9 mm/m2であった。以下、stage 2術前肺動脈値41.9 mm/m2以上の群と未満の群の順に平均±標準偏差(手術時日齢、心房間圧差は中央値(IQR))とp値を示す。生下時体重2.6±0.1、2.8±0.2kg(p=0.3)、体重増加率370±151、329±189g/月(p=0.5)、Stage 2時日齢136(123)、108(170)日(p=0.3)、Stage 2時体重4.6±1.1、5.0±1.7kg(p=0.5)、心房間圧較差3(5)、2.5(10)mmHg(p=0.4)であった。また、bPAB術前肺動脈値54.5±9.1、47.8±8.5mm/ m2(p=0.2)であり、元来の肺動脈の大きさはbPAB後の肺動脈の成長の程度とは関連しない可能性があった。右肺動脈圧9.8±4.9、16.0±6.8mmHg(p=0.02)、左肺動脈圧10.8±5.5、17.4±8.6mmHg(p=0.03)であり、低形成な肺動脈は肺高血圧の傾向が認められた。肺動脈bandのmigration有り5.3%、37.5%(p=0.04)であり、migrationは肺動脈の成長に悪影響を与えていた。【結語】bPAB後2ヶ月を目処に肺動脈径の評価を行い、肺動脈値41.9 mm/m2以上を一つの目安としてN+Gの適応を考慮し、それ以外の低形成な肺動脈や肺高血圧症例は早期にNorwoodを行う方針に変更することも一つの治療戦略として考えられた。