1:50 PM - 2:40 PM
[II-OR35-04] 大動脈基部再建症例の再手術における体外循環システムの検討
Keywords:体外循環, 大動脈基部再建術後, 再手術
【背景】近年の成人先天性心疾患手術や段階的手術の増加に伴い、複雑心奇形の再手術症例も増えており、特にNorwood手術やIAAなどの大動脈基部再建施行症例に対して再手術時の体外循環システムの再考、工夫が必要と思われる。【目的】当施設で大動脈基部再建術後に再手術もしくは段階的手術を行った症例の体外循環システムについて検討を行った。【症例】<症例1:HLHS(MS,AA),18y,39kg>Norwood、TCPC術後15年でPR進行→人工弁置換術(On-X19mm)施行。<症例2:IAA(B),AS,1y,8kg>Norwood術後1年で二心室修復の方針→Yasui手術施行。<症例3:IAA(B),AS,1y,11kg>二心室修復後1年でSVAS、SAS進行→大動脈再建術施行。<症例4:TGA(3a),1y,9kg>動脈スイッチ(Murthy法)後1年でSVAS、PS進行→大動脈及び肺動脈再建術施行。<症例5: IAA(A),AP window,19y,62kg>二心室修復後11年でSVAS、PS進行→大動脈及び肺動脈再建術施行。血行再建の際に年長例では人工血管、幼児例ではグルタルアルデヒド処理自己心膜片を用いた。【結果】全例脳分離体外循環を併用し、その際下行大動脈バルーン送血3例、大腿動脈送血1例、循環停止1例に行った。なお、頸部分枝送血は2例が3本全て、3例が両総頚動脈のみに行った。脳分離体外循環時間は97~213(平均176)分で、脳血流量10-15ml/kg/min、下肢血流量30-50ml/kg/min、最低体温25-30℃で維持した。循環モニターとして両前額部と腰部にINVOSを装着し、常に初期値の60%以上となる様に努めた。全例人工心肺から容易に離脱し、良好な結果を得た。【結論】大動脈基部再建症例の多くは大動脈遮断操作が困難であり、脳分離体外循環を要した。頸部分枝全てに送血する事が困難な場合でも両総頚動脈送血であれば、25℃までの冷却で脳保護は十分と思われた。バルーン付送血カニューレは血管内腔3mm以上あれば小児でも使用可能で、大動脈遮断困難症例の頸部分枝や下半身循環を行う際に有用であった。