The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Free Paper Oral

複雑心奇形

Free Paper Oral 37 (II-OR37)

Sat. Jul 8, 2017 4:15 PM - 5:05 PM ROOM 6 (Exhibition and Event Hall Room 6)

Chair:Tetsuya Kitagawa(Department of Cardiovascular Surgery,Institute of Biomedical Sciences,Tokushima University Graduate School)

4:15 PM - 5:05 PM

[II-OR37-02] 肺動脈閉鎖兼正常心室中隔の単心室循環における冠動脈の形態に基づいた予後の推定

杉谷 雄一郎1, 佐川 浩一1, 倉岡 彩子1, 兒玉 祥彦1, 中村 真1, 石川 司朗1, 中野 秀俊2, 角 秀秋2 (1.福岡市立こども病院 循環器科, 2.福岡市立こども病院 心臓血管外科)

Keywords:肺動脈閉鎖兼正常心室中隔, 単心室循環, 冠動脈

【背景】右室依存性冠循環(RVDCC)を有する肺動脈閉鎖兼正常心室中隔(PAIVS)の予後は不良だが、RVDCCではない例の冠動脈形態は多様でその予後についての報告は少ない。【目的】PAIVSの冠動脈の形態を分類しリスクを層別化すること。【対象・方法】当研究は単施設後方視的コホート研究である。1981年から2014年までに単心室修復を選択し初回手術で体肺短絡術を行ったPAIVS 89例を対象とした。Fontan術に到達した例は61例であった。初回の右室造影および大動脈造影より冠動脈の形態を類洞交通(SC)の有無で分け、類洞交通を有する場合はさらに3群に分類した:類洞交通のない群(非SC群)、RVDCC群(主要冠動脈の1枝以上の狭窄または途絶)、RVDCCでない例のうち右室造影で大動脈が造影される群(major SC群)、右室造影で大動脈が造影されない群(minor SC群)。4つの群にKaplan-Meier法による生存時間分析を行い、Log-rank testで比較した。【結果】非SC群 34例、RVDCC群 19例、major SC群 15例、minor SC群 18例、冠動脈形態不明 3例であった。全体の死亡例は14例(16%)で、非SC群は4例(12%)、RVDCC群が5例(26%)、major SC群 0例、minor SC群 2例(11%)、冠動脈形態不明が3例であった。死亡時期は体肺短絡術後 12例、Glenn術後1例、Fontan術後1例で、そのうち周術期4例であった。死亡理由は、突然死5例、急性心不全4例、呼吸器感染1例、不明4例であった。全体の生存率は5年生存率 84.3%、10年生存率 82.9%であった。非SC群、RVDCC群、major SC群およびminor SC群は5年生存率が各々89.5%、72.8%、100%、88.5%、10年生存率が各々85.4%、72.8%、100%、88.5%であった。RVDCC群の生存率は低い傾向を示した。一方major SC群は非常に良好な予後であった。【結論】major SC群の予後は非常に良好であった。類洞交通の大きさのみでは予後の推定は困難であり、造影検査を詳細に検討し冠動脈の狭窄、途絶の有無を十分に鑑別する必要がある。